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P‐LOG ダイヤモンド編

#33
抜けるような青い空が広がる。森が、山が、川が、眼下を流れていく。
彼女はハル(ムクバード)の秘伝技・空を飛ぶを使い、ギンガ団を追ってノモセシティに向かっていた。
頬をなでる風が心地良い。なぜだろうか、とても懐かしい感じがする……彼女はそっと目を閉じた。

違和感を感じて目を開ける。暗黒が空を覆い、稲妻が走り、雷鳴が轟く。彼女は激しい雨に打たれていた。
急ぐ彼女の前に、突然、2つの巨大な影が現れ……

彼女は我に返った。雨など降ってはいない。空は変わらず澄んだ青をしている。ハルが心配そうに声をかけた。
「ピルルゥ?」
「何でもない、ハル……スピードを上げろ!」

ノモセシティ、ポケモンセンターの屋根の上に降り立った。ハルをボールに戻す。辺りを見回すと、大湿原の展望台の前に立つギンガ団の男が目に入った。足元には大きな銀色のトランクがある。

「トバリの倉庫からブツがようやく届いた!そして俺は思いついた!まず、湖で試そう!大事な仕事だ!失敗は許されない。大湿原だと邪魔が多そうだからな!」
「それで?」
唐突に現れた彼女に、ギンガ団の男は慌てふためき、トランクを持って後ずさりを始めた。
「聞いていたな!俺の大声の独り言を。本当ならポケモン使ってひねり潰してやるところだが、俺は湖に行くのに忙しいのでサヨウナラだ!いいか!追いかけてくるんじゃねーぞ!!」
男は猛然と走り出した……つもりらしいが、トランクが余程重いのか、大してスピードは出ていない。歩いて追うと、すぐ先の東ゲートの前で男は息を切らし、トランクを下ろして休んでいた。
「鬼ごっこはもうおしまいか?」
「ぎょ!!しつこいな!ワレワレの実験が首尾よく成功すれば、ワレワレのボスの理想の世界が創り出される!だから、お前の相手なんかしないぞ。だから、決して追いかけてくるんじゃねーぞ!!」
男はふらつきながら逃げていく。やれやれと思いつつも、それを追おうとした、そのときだった。


けたたましい足音に気づいた彼女は振り向き、右拳を突き出した。ジュンは上体を反らせ、それをかわした。
「おっと!!ヘヘへ!いつもぶつかってばかりじゃないぜ!」
彼女は拳を引いたかと思うと、左ハイキックを繰り出し、ジュンを蹴り倒した。相変わらず容赦がない。
「今、お前に構っている暇はない」
ジュンは立ち上がり、モンスターボールに手をかけた。彼も相変わらずしぶとい。
「さあ、シィ!ポケモンきたえてるか!おまえとポケモン、どれぐらい強くなったか、オレがたしかめてやるぜ!」

ジュンはムックルLv.26を繰り出した。彼女は溜息をつき、バラク(ズガイドス)を出した。頭突きでムックルを倒し、オリア(ルクシオ)に替えてスパークでブイゼルLv.25を倒す。レビアたん(ポッタイシ)は火の粉を払いのけ、バブル光線でポニータLv.25を倒した。レビアたんはLv.28になった。
力の差は圧倒的だ。最後の1匹、ハヤシガメLv.28が出る。ジュンの顔にも焦りが見える。
「たしかにおまえのポケモン、きたえていて強いのわかるぜ!」
ハルは翼で打つ攻撃で一気に大ダメージを与えた。殻にこもるで防御を上げ、噛みつく攻撃で必死の反撃を試みるハヤシガメに、ハルはなおも攻撃を続け、電光石火で止めを刺した。

「なんだってんだよーッ!オレ、負けちまったよ!?」
「構っている暇はない。そう言ったはずだ」
ジュンは余裕の表情を作って見せた。
「まっ、ちょっとは強くなってるかもな。そこんところにおどろいて、うっかり負けてしまったぜ……で、おまえ。さっきのギンガ団、なんだ?よくわからないけど、逃げるやつは追いかけろ!ポケモン以外の逃げるやつは、悪いやつって決まってるからな!」
彼女は少し寂しげな顔をした。
「逃げる奴は追いかけろ、か。なら、今のお前はどうだ?あたしは追いかける気にはなれない」
心を見透かすような言葉に、ジュンは背中を向け、拳を強く握り締めた。
「じゃな!シィ!次は手かげんなしだぜ!!」
虚しい台詞を残し、いつも以上の猛ダッシュで走り去っていった。これほど彼の背中が小さく感じられたことはなかった。

「これを作るために発電所のエネルギーを奪っていたのだ!そして、これを作ったワレワレのボスは科学の天才だな!」
「はあはあ……何で俺はこんなに走っているのだ!?ボスの言っていた新しい宇宙か……ふふふ、凄くわくわくしてくる。そのためにも、これを使って……」
砂浜、ホテルグランドレイクと、休み休みに逃げる男を追い詰める。

階段を下りたところで、男は両膝をつき、息も絶え絶えにトランクに寄りかかっていた。
「なんと……まだ追いかけてきたのか。湖は目の前なのに……仕方ない……ポケモンで、コテンパンに……」
男は何とか立ち上がるとニャルマーを繰り出し、騙まし討ちを仕掛けた。バラクを出し、受け止める。
「トレーナーごとブッ飛ばせ!」
バラクはニャルマーに頭突きを食らわせ、そのまま男に突っ込んだ。男は吹っ飛び、トランクに激突した。

衝撃でトランクが開いた。中からこぼれ出てきたのは……ただの石!これはダミーだ!
もう戦えない……それにへとへとだ……仕方ない、これは幹部に渡そう……せめて、湖で使いたかった……」
男はそううわ言のようにつぶやき、口が開いたままのトランクを引きずりながら、よろよろと歩いていった。
まんまと一杯食わされた形だ。彼女はギンガ団の動向を探るため、トバリシティに戻ることにした。


視線が吸い寄せられる!そこには女が立っていた。ファー付きの黒いロングコート、ブロンドから垣間見えるその横顔……

……シロナ!

お小遣い517334円  ポケモン図鑑97匹(捕まえた数87匹)  バッジ4個  プレイ時間383:46



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#34
リッシ湖のほとり ―― そこにはハクタイシティで会った謎の女、シロナがいた。
あのとき、シロナはいつの間にか自分の隣に立っていた。瞳を覗き込まれた瞬間、体の自由が利かなくなり、心の中に入り込まれるような感覚があった。春の陽射しのように優しい、心地良いとさえ思える感覚……彼女にはそれが恐ろしかった。

「おや?久しぶり」

「ポケモン図鑑の調子はどう?あたしは湖の言い伝えを調べに来たんだけど……今は入れないみたいね」
その視線の先には、白衣を着た研究者風の2人の男がいた。無表情で手を後ろで組み、微動だにしない。
「言い伝えのこと、知ってる?湖の中に島があって、幻のポケモンがいるの。だから、人は入っちゃいけない場所があるんですって……そうだ!話変わるけど、君、210番道路のコダックの群れを見た?」
「……いや」
「あら?210番道路に喫茶店あるでしょ。その隣でね、コダックたちが集まって頭抱えているんだ……でね、コダックたちにこれを使うといいかもよ。君、ポケモン図鑑作ってたよね。行ってみたらどうかな?」
コートのポケットから小さな巾着を取り出し、歩み寄る。
「止まれ!それ以上、あたしに近寄るな!」
彼女は声を荒げた。シロナはフッと笑い、それを投げてよこした。
「あたしも昔、図鑑を持って冒険してたの。君、全てのポケモンと出会えるといいね!そうしたら、幻のポケモンの秘密がわかるかもしれないし。じゃね!」

彼女は空を飛び、トバリシティに戻ってきた。ギンガ団に新たな動きは見られない。当初の予定通り、ヨスガシティに向かうことにする。直接飛んでいくことも可能だが、その経路にある210、215番道路にはまだ足を踏み入れていない。トレーナー戦とポケモン探しを兼ねて、徒歩で行くのがいいだろう。

町の西ゲートを抜け、215番道路に入る。途端に強い雨が降り出した。窪地の木の陰で、技マシン34「電撃波」を見つけた。入り組んだ道を進むと、吊り橋で結ばれた小高い丘が見えてきた。それを渡り、トレーナーを倒しつつ、先に進む。武道家の男から、後攻になると技の威力が2倍になる、技マシン66「しっぺ返し」をもらった。
「俺はお宝ハンター。今回は、君から勝利をハンティング!」
遺跡マニアの男はドーミラーを繰り出した。オリアを出す。オリアはドーミラーにスパークを食らわせ、催眠術をかわし、噛みつく攻撃で倒した。
2匹目のポケモンはタテトプスだ。頭部は鈍い金属光沢を持つ黒色の楕円形で、その名の通り「盾」に見える。レビアたんを出し、雨で威力を増したバブル光線で一気に吹き飛ばした。

210番道路に入る頃には、雨はすっかり上がっていた。バンガロー風の小さな建物が見える。
「『カフェ山小屋』 しぼりたてミルクあります」
シロナが言っていた喫茶店だ。その脇を見ると、数匹のコダックが集まり、道路を塞いでいた。皆、頭を抱えている。
「レビアたん、バブル光線だ」
「ギャオッ!」
レビアたんはバブル光線を放った。しかし、それはコダックたちの目前でことごとく弾かれてしまった。コダックは頭痛が激しくなると不思議な力を使うというが、これもエスパー技のリフレクターや光の壁のようなものなのだろう。
バッグから、シロナから受け取った巾着を取り出す。口を緩めると、つんと臭う大振りな丸薬が転がり出た。これで治せということらしい。
「ほら、薬だ。飲むと楽になるぞ」
丸薬を目の前に差し出してみたが、意味がわからないのか、コダックたちは首をかしげるばかりだ。
「貴様ら、余程安らかに眠りたいらしいな!!」
「ギョア――ッ!?」

レビアたんが悲鳴を上げた。業を煮やした彼女が、コダックのくちばしにアロス(ドーミラー)を突っ込んで無理やりにこじ開け、丸薬をねじ込み始めたのだ。薬を飲まされたコダックたちはしばしのた打ち回っていたが、薬が効いたのか頭を抱える手を下ろし、クモの子を散らすように逃げていった。
「なるほど。よく効く薬だ」


「秘伝の薬、使ってあげたんだね」
「やはり、来ていたのか」
ゆっくりと後ろを振り返る。シロナだ。
「コダックは頭痛を起こすポケモンと知られているけど、その原因まではわかってないんだよね……そうだ!君にお願いしたいんだけど、いいかな?このお守りを、カンナギにいるおばあちゃんに届けてほしいの」
シロナはそう言い、象牙色をした勾玉を見せた。ポケモンの骨から作られた古代のお守りだ。
「カンナギに行く途中にも珍しいポケモンいるから、悪い話じゃないと思うけど」
「十分に悪い話だ。あたしにはお前のお願いとやらを聞いてやる義理はない……だが、逆らうことはできないのだろう?一体、お前は何者なんだ?」

シロナは何も答えない。ただ、微笑むのみだ。彼女はレビアたんを遣って、お守りを持って来させた。
「あたしのおばあちゃん、何ていうか、偉そうなオーラ?そういうの出てるから、わかると思うんだけど……そうか、おばあちゃん、カンナギの長老だから、すぐにわかるわよ。で、場所だけど……タウンマップを見ればわかるよね」
「もういい。さっさと失せろ」
「じゃあ、よろしくね!また、どこかで会いましょう!」
シロナは長い髪を風になびかせ、去っていった。

カンナギタウン、そこで何が待ち受けているというのだろうか。

お小遣い606104円  ポケモン図鑑97匹(捕まえた数87匹)  バッジ4個  プレイ時間391:48



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#35
カフェ山小屋 ―― 客の眼鏡の男はバリヤードを繰り出した。マネネの進化形のピエロのような姿をしたポケモンだ。彼女はロネ(グレッグル)を出し、騙まし討ちの一撃で倒した。続いて出た2匹のバリヤードも、ハルとオリアで倒した。先に戦った男の仲間もそうだったが、コレクターが出してくるのは、何匹出してこようが同じポケモンばかりだ。
「知識は誰よりもある!珍しいポケモンも持ってる!だけど、勝負は弱いんだよ。それがポケモンコレクター……」
一息入れようと席に着き、ウェイトレスを呼ぶ。
「おい、注文だ」
「いらっしゃいませ!こちらが自慢のポケモンです」
ウェイトレスの女は、お盆の上のモンスターボールからピッピを出した。これも倒す。

カンナギタウンへと続く道には、人の背丈ほどもある草が生い茂っていた。それをかき分けながら進んでいると、忍者風の格好をした子供が飛び出してきた。トレーナーだ。あっさりと返り討ちにしたが、見えないところから突然現れるのが鬱陶しい。

茂みを抜け、森の小道に入ると、急に深い霧が立ち込め始めた。視界はわずか数m、タウンマップを頼りに、かすかに見える道らしきところを進んでみる。
「ほら、トレーナーが来たわよ。ガク、準備はいい?」
「先輩!僕のがんばり、見ててくださいよね!」
霧の中から2人の男女が現れた。赤と黒に色分けされた名門トレーナーズスクールのスマートな制服、通称・エリートトレーナーだ。2人はギャラドスとライチュウを繰り出した。彼女が出したのはロネとレビアたんだったが、相手のライチュウはピカチュウの進化形の電気ポケモン、すぐさまレビアたんを戻し、オリアに替えた。
ロネの瓦割りは急所に当たり、ライチュウを一撃で倒した。ギャラドスがオリアに噛みつく。ロネが騙まし討ちを食らわせ、オリアがスパークを直に流し込み、ギャラドスは煙を上げて落ちた。

やはり、進行に難があり過ぎる。彼女はバッグから、秘伝マシン05「霧払い」を取り出した。ハルに覚えさせる。
ハルは空高く舞い上がり、大きく羽ばたいた。発せられたエネルギーにより、大気中の微小な水粒が凝結して雨となって落ち、次第に霧が晴れていく。左側は険しい崖だった。これで安全に進むことができる。
急な斜面を登り、峡谷に架かる吊り橋を渡る。轟々と流れ落ちる滝が見える。自然は厳しく、野性ポケモンのレベルも高い。その中からゴーリキーを捕獲した。丸太の一本橋を渡った先で、技マシン30「シャドーボール」を見つけた。

トレーナーを倒して進み、ようやく町が見えてきた。レビアたん、アロスはLv.30に、ハル、オリア、ロネはLv.29になっていた。
「ここはカンナギタウン 昔を伝える町」
円形の凹地の中央には、小さな祠がぽつんと建っている。神域ということなのだろうか、家々はそれを避けるように周縁部に建てられている。歴史を感じさせるたたずまいだ。
まだ明るいというのに、町は妙に静まり返っていた。着物姿の小柄な老婆が目に入った。杖を握り締め、怒りの表情で一点を睨んでいる。
「遺跡の前に宇宙人みたいなのがおる。あそこには何もないのに、それに腹を立てて爆弾を使うと言っておる……」
「爆弾…?」
「困ったものだ……わしが若ければ、ポケモンと一緒にギタンギタンにしてやるのに!!」
祠の向こう ―― 切り立つ崖に口を開ける横穴、その左右の壁面は石組みで覆われている。ギンガ団の男はただ1人、そこに立っていた。落ち着かない様子だ。彼女は状況を見定めると階段を降り、祠を横目に見、男のいるほうへ歩いていった。

「こんなしみったれた町、何もないならギンガ爆弾で吹き飛ばす!邪魔をするというなら、ポケモン勝負で黙らせるぜ!さあ、どうする?邪魔をするのか?」
男が凄んだ。それに対する彼女の答えはもちろん一つだ。
「決まっている。これからお前を『ギタンギタン』にする!」
「ギンガ団の邪魔をするとは、世界に……いや、宇宙に逆らう奴だな!」
男はアゲハントを繰り出した。彼女はレビアたんを出し、つつく攻撃で大ダメージを与え、秘密の力で止めを刺した。次のグレッグルは、オリアのスパーク一撃で倒した。どうということのない相手だ。
突然、オリアの体が光に包まれた。進化だ!光は次第に強まり、一気に飛び散った。逆立ったたてがみ、鋭い眼光、黒と青の毛並みを静電気の火花が走る……ついに最終形態、レントラーに進化したのだ。オリアは鋭い雄叫びを上げた。
「ギュアワァ――!」

「強い……うぅ、仕方ない。こんな何もないところ、どうでもいいから帰ってやるぜ!」
ギンガ団の男は捨て台詞を吐き、ほうほうの体で逃げていった。それを見ていた先程の老婆が下に降りてきた。
「おお、助かったよ!それにしても強いトレーナーだ。このカンナギタウンの長老としてお礼を言うよ」
「やはりそうか」
彼女はバッグのポケットから古代のお守りを取り出した。
「おや?そのお守りは……ちょいと見せてくれるかい」
それを手渡す。
「あんたにと、シロナから預かったものだ」
「何?孫のシロナに、届けるよう頼まれたのかえ。これはむかーし昔にカンナギで作られていたお守りでな、シンオウ地方を創ったといわれる神様に捧げていたもので、今でも時々見つかるのじゃよ」
「確かに渡したぞ。じゃあな」
足早に立ち去ろうとした彼女を、老婆が引き止めた。
「そうじゃ!せっかくカンナギに来たんだ、この遺跡の中を見ていかんかね?」

日が傾き、左右の石組みに巨大な壁画が現れた。風化が進み、薄れていたものが、光の加減で浮かび上がってきたのだ。
縦長の頭部を持つ四つ足のポケモン、そして翼の生えた二つ足のポケモン……彼女はそれらの絵に強烈な既視感を覚えた。

遺跡は何を語るのか。

お小遣い667592円  ポケモン図鑑101匹(捕まえた数91匹)  バッジ4個  プレイ時間402:36



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#36
壁画の2匹のポケモンは向かい合うように描かれている。左はハクタイで見た像と同じポケモンのようだ。それぞれ文字が添えられている。
「時間とは止まらないもの。過去と未来、そして今……」
「空間とは全ての広がり。そして、心も空間……」

横穴に入る。少し進むと、壁面が石組みで覆われた球体状の広い空間に出た。その正面にも壁画があった。赤子のような体つきをした3匹のポケモンが三角形に並び、その中央には光る物体が描かれている。
表の2匹、そしてこの3匹も、やはり初めて見るような気がしない……

静まり返った室内に足音が響いた。シロナの祖母だ。
「その壁画……そこには神がいた。それらは強大な力を持っていた。その力と対になるように3匹のポケモンがいた。そうすることで、鼎(かなえ)のごとく均衡を保っていた……カンナギに伝わるシンオウ地方の昔話さ」
祖母は思い出したように袂を探った。
「そうじゃ、いい物を見つけたんだよ。これを持っておいき!元々は孫のものだけど、使ってないからいいじゃろて」
秘伝マシン03「波乗り」をもらった。水上を移動するための秘伝技だ。

ギンガ団の男に爆弾らしきものを持っている様子はなかった。遺跡の周辺・内部にも仕掛けられた痕跡はない。町一つ消し去るほどの威力を持つ爆弾……男の言葉は単なるハッタリだったのだろうか?嫌な予感がする……

外はすっかり暗くなっていた。ヨスガに向かうのは明日にしたほうがよさそうだ。
「どうも下らない争いがあったようだ。もっと世界を見渡して、大きなレベルで物事を見るべきだ。そう、宇宙のような大きさで」
そこにはテンガン山で会った、いわくありげな黒づくめの男がいた。
「……また何か、無駄口を叩きに来たのか?」
「私の名前はアカギ。下らない争いをなくし、理想の世界を創るための力を探している。が、ここにはなさそうだ……君はテンガン山で会ったね。何か伝説にまつわる力を見つけたら教えてほしい。それが新しい世界を生み出すのに必要だからね」
話が見えない。ひとしきり語ると、男はいずこかへと去っていった。


この夜はシロナの祖母の家に泊まることになった。築百年は経っていそうな和の建築だ。そこには祖父と妹もいた。全員揃って夕食を取る。誰もシロナには似ていないような気がする。

「あたしのお姉ちゃん、シンオウ地方の神話を研究してるの。ポケモンと人は、神話が作られた時代からどんな風に付き合ってきたのか。今と同じなのか、それとも違うのか。それがテーマなんだって」
夕食後、妹は姉が収集している文献を見せてくれた。
「そのポケモンが生まれて知識が広がり、私たちは豊かになった。そのポケモンが生まれて感情が芽生え、私たちは喜び、悲しんだ。そのポケモンが生まれて私たちは何かを決意し、行動するようになった」
祖父が聞いた。
「どこから来たんだい?」
「……フタバタウンだ」
「ほう、フタバタウン。じゃあ、シンジ湖の近くか。あの湖にいる感情の神エムリットが、君のこと見守ってるだろうな」

翌日 ―― 彼女はシロナの家族に別れを告げ、空を飛ぶを使い、ヨスガシティにやってきた。ジムを覗いてみる。
「オーッス!未来のチャンピオン!」
サングラスの男は満面の笑みで彼女を迎えた。表情でわかる。ジムリーダーは戻ってきている!
「ここのジムリーダーはゴーストタイプの使い手!なんと!なんと!ゴーストタイプのポケモンには、ノーマルタイプの技は効かない!後は自分で確かめてくれ!お前のこと、信じてるからさ」
「ゴーストタイプ、か……」

彼女は踵を返し、ポケモンセンターに向かった。バラクをパソコンに預ける。実用性の低い追い討ちを除き、ゴーストタイプにダメージを与えられる技を持っていないためだ。そして、替わりに1匹のポケモンを引き出した。
「頼むぞ、アスタ」
「ぷわわー」
谷間の発電所でヒールボールで捕獲した、あのフワンテだ。トバリゲームコーナーの景品交換所で手に入れた技マシン29を使い、毒タイプを併せ持つゴース系に有効なエスパータイプの技、「サイコキネシス」を覚えさせた。だが、ゴーストの弱点もまたゴースト、油断はできない。
210道路のトレーナーを片付け、レベルを上げる。途中、飛行タイプの回復技、技マシン51「羽休め」をもらった。

「ヨスガシティポケモンジム リーダー・メリッサ 魅惑のソウルフルダンサー」
レビアたん(ポッタイシLv.30)、ハル(ムクバードLv.30)、オリア(レントラーLv.30)、アロス(ドーミラーLv.30)、ロネ(グレッグルLv.30)、アスタ(フワンテLv.29)の6匹でジム戦に挑む!

がらんとした石造りの部屋を、わずかなかがり火だけが照らしている。ゴーストタイプのジムらしい演出だ。中央のエレベーターに乗り、上の階に上がる。何階まであるのかはわからない。そこには3つの扉が並び、立て札が立っていた。
「問題 『3+5+7はいくつ?』」
「答え 『←2 ↑16 →15』」
答えは15、右の扉を開ける。中にはまたエレベーターがあり、立て札には「正解です!おめでとうございます!」と書かれていた。どう見ても、馬鹿にされているとしか思えない。

あり得ないことだが、もし間違った扉を開けていたら、どうなっていたのだろう?左の扉を開けてみる。
「なんだ!ポケッチ持ってないのか?
中にいたジムトレーナーの少年があざけった。部屋は行き止まりだ。一桁の足し算に計算機を使えとは、馬鹿にするにも程がある。ゴースをアスタのサイコキネシス、進化形のゴーストをロネの騙まし討ちで、少年ともども倒した。
次は中央の扉だ。
「えへへ!クイズに間違えたのは、あたしと勝負したいからよね!」
少女はムウマを繰り出した。体色は青味がかった黒で、愛らしい顔にスカート状の小さな胴体がついている。オリアを出して噛みつく攻撃でひるませ、スパークで倒した。
結局、全室を回ることになった。階を上がるに従い、トレーナーのレベルも上がっていった。

4つ目のエレベーターを降り、同じように不正解の2つの部屋を先に片付ける。待ち構えていたのは、なかなかに強いエリートトレーナーだった。
彼女は確信を持って最後の扉を開けた。石造りの広間には極彩色のステンドグラスでできた窓が並び、荘厳な雰囲気をかもし出している。光を背に受け、悠然とたたずむ紫のドレスの女 ―― メリッサ!
「待っていたぞ、このときを」

因縁の対決……その先に待ち受けるのは、何か。

お小遣い714816円  ポケモン図鑑102匹(捕まえた数91匹)  バッジ4個  プレイ時間406:05

INDEX 目次前項33343536メモ次項