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P‐LOG ダイヤモンド編

#21
「がんばれよ!僕のポケモン!僕もがんばるからさ!」
「がんばって!あたしのポケモン!あたしもがんばるから!」
207番道路を進む彼女の前に、緑の制服を着たキャンプボーイとピクニックガールのコンビが立ち塞がった。出してきたのはポニータとパチリスだ。
「行け、オリア!バラク!」
彼女はオリア(ルクシオ)とバラク(ズガイドス)を繰り出した。スピードは向こうのほうが圧倒的に上だ。2匹はスパークと火の粉を受けた。それに対し、オリアはポニータをスパークの一撃で倒した。バラクはパチリスに突進を仕掛け、倒れる寸前にまで追い込んだが、同時にその反動で自らもダメージを負った。最後はオリアの噛みつく攻撃で、パチリスに止めを刺した。
「ああ……負けちゃった……」
「ああ……負けちゃった……」

バラクは6つのステータスの中で、攻撃だけが飛び抜けて高い。しかし、覚えている攻撃技は、威力は高いが反動があり、なおかつ命中精度がやや低い「突進」と、命中精度は高いが威力の低い「追い討ち」の2つしかない。ズガイドスの象徴ともいうべき「頭突き」は、威力と命中精度のバランスが取れた優れた技だが、バラクは化石から高いレベルで復元されたため、低いレベルで覚えるはずのそれを忘れてしまっている。レビアたん(ポッチャマ)と同じで、技に恵まれていないのだ。
アロス(ドーミラー)は防御・特防が高く、攻撃・特攻が低いという、長期戦を主体とする防御型のステータスを持ち、育てるのに手間がかかる。現在のレベルも、他の5匹の20に対し14と低いため、学習装置を持たせている。
前途は多難だ……いや、育てがいがあるというべきだろうか。

何人かのトレーナーを倒し、テンガン山を貫く洞窟に入る。内部は想像以上に広い。起伏は激しく、泉が湧き、道は入り組んでいる。水辺を歩いているとき、淡いピンク色をした小さなポケモンが現れた。すぐさまベリト(コロトック)を出し、吸血と歌うを使ってそれを捕獲した。「ピィ」という星形ポケモンだ。
そのとき、彼女は何者かの視線に気づいた。時折感じる妙な気配……その主なのか?

「そこの、降りて来い」
周囲よりも一段高い岩場から、靴音を響かせ、長身の男が降りてきた。服は黒づくめ、短い髪を逆立て、目つきは鋭い。
「……違うな。小物か」
「君は世界の始まりを知っているか」
男は北、テンガン山の主峰がある方角に視線を向けた。
「このテンガン山はシンオウ地方始まりの場所、そういう説もあるそうだ……出来たばかりの世界では、争い事などなかったはず。ポケモン勝負と争うことは全然違う。君もポケモントレーナーなら、そのことを忘れないでほしい。とはいえ、心は弱いから難しいだろうけどね」
「何が言いたい?」
「では、失礼……」
男は不敵な笑みを浮かべ、西へと去っていった。

洞窟を抜け、深い渓谷に出た。208番道路だ。滝が流れ落ちているのが見える。吊り橋を渡り、先に進む。次々とトレーナーを倒し、アロスはLv.17に、レビアたんとハル(ムクバード)はLv.21になった。
大木の根元に、ボロボロの道着を着た武道家の男が座っていた。
「……黙ってこれを持っていけ!」
男は「要石」という、高さが30cmほどもある円錐台形の石を指し示した。上面には奇妙な形のひび割れがある。
「209番道路に行け!そして地下通路に行け!石の塔の声を聞け!地下で人の声を聞け!」
男が訳のわからないことを言った。とても気軽に持ち運びできるような大きさではないため、その場に放置していく。

「木の実じいさんの家」という表札の上がっている民家があった。隣には小さな畑がある。老人とその娘、孫娘が出迎えた。
「わしはみんなから、木の実じいさんと呼ばれています。木の実の素晴らしさを伝えたくて、毎日配っているのです。さあ、君にも木の実を分けてあげよう!」
老人からウブの実をもらった。ポケモンのなつき度を上げる効果のある木の実だ。
「自然の恵みである木の実をポケモンにあげる。そうすると、ポケモンが喜ぶだろう。それを見て、人が木の実を植える。そうして、シンオウが緑豊かなところになればいいんだよ」
娘は木の実の栽培に使う肥やしを売っている。孫娘からポケッチに、木の実がなっている場所を表示する「木の実サーチャー」のアプリを追加してもらった。


西ゲートを通り抜け、ヨスガシティに到着した。かなり大きな街だ。
「ここはヨスガシティ 心が触れ合う場所」
突然、ミミロルが彼女のほうに向かって走ってきた。彼女が鋭い目で睨みつけると、ミミロルは金縛りに遭ったかのように動かなくなった。その後を少女が追ってきた。このミミロルの持ち主のようだ。
「よかった!あなたがグーゼンそこにいて!そうでなかったら、ミミロルちゃん、どこまで逃げてたか……ミミロルちゃん、モンスターボールに戻ってね!」
少女は安心した様子で、ポケモンをボールに戻した。
「お前は?」
「あたし、ミミィ!コンテストの審査員してまーす。お礼したいから、コンテスト会場に来てね!」
少女は街中へと戻っていった。まずはポケモンセンターでポケモンたちを回復させ、ジムの下見に向かう。

「ヨスガシティポケモンジム リーダー・メリッサ 魅惑のソウルフルダンサー」
ジム内は出入口以外の照明が落とされ、閑散としていた。認定トレーナーのプレートには、既にジュンの名がある。おなじみのサングラスの男は椅子に座って読書をしていたが、彼女に気づくと本を閉じた。
「おっす!トレーナー!」
「……これは、どういうことだ?」
「ここに来たってことは、ジムトレーナーに挑戦だな。だがな、本当に申し訳ないが、それは無理な話なんだな。なぜって聞きたいだろうから先に答えちゃうと、ジムリーダーがいないからだ!また来てくれよ。俺が待ってるからさ」

ジムリーダーは今、どこに?

お小遣い34706円  ポケモン図鑑59匹(捕まえた数41匹)  バッジ2個  プレイ時間122:48



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#22
「ポケモンコンテスト会場 集え、ポケモン自慢!」
街の中心部にある巨大なドームは、大勢の人々で賑わっていた。その外観は古代ローマの円形劇場を模したものだ。ここで行われるのは、ポケモンの魅力を競い合う大会、「ポケモンスーパーコンテスト」だ。

人ごみを抜け、中に入ろうとしたとき、女が前を横切り、彼女はとっさに立ち止まった。女は鮮やかな紫色をしたサテンのロングドレスに白い手袋をし、長い髪を4つに分けてきちんと束ねている。メイクも完璧だ。
「アラ、ごめんなサイ!コンテストデスか?ウフフ、楽しんでくだサーイ!ちなみに、このヨスガのジムリーダー・メリッサは、ポケモンコンテストでもすごーく強いそーデス!それって、アタシのことデスけど」
いちいち癇に障るしゃべり方だ。彼女は苛立ちを隠さない。
「あんたに用がある。今すぐジムに戻って欲しい」
女は目を細め、品定めでもするかのように彼女をつま先から頭の先まで眺めると、大げさに肩をすくめた。
「ウーン、アナタ、もっともっと強くなってくだサーイ!そうしたら、ショーブしましょ!」
その一言で、彼女の機嫌の悪さも頂点に達した。女は彼女に背を向け、離れていく。
「何だと!?このあたしが戦うに値しないというのか!ポケモンを出せ!今すぐそんな口が利けないようにしてやる!……待てっ!!」
後を追おうとしたが、人ごみに紛れ、女は姿を消してしまった。

ドームのエントランスでは、入場待ちの観客が列を作っていた。ポケモン連れで来ている者も多い。
「あ!さっきの!」
「あら、シィ」
「なっ……!?」
そこにはなぜか、彼女の母親もいた。ミミィは目を丸くして、2人の顔を見比べた。
「えっ!えっ!あなた、アヤコさんのお子さん!?じゃあ、コンテスト凄いかも!?」
「さあ、どうかなあ?シィとコンテストのこと、話したこととかないもんね。それより、あなたたち知り合いなの?」

ミミィは事の経緯を話し、そのお礼にとアクセサリーのキラキラパウダーをくれた。どうやら、母親はコンテスト界では名前が知られているらしい。そういえば、家にもカップやリボンが飾ってあったような気がする。ミミィは審査員の仕事があるため、ここでお別れだ。
「驚いた?シィ。ママ、退屈でヨスガに遊びに来たら、あなたがいるんだもの。こっちが驚いちゃった!なあに?コンテストに出るの?」
「……いや、別に」
彼女はふてくされている。それを見た母親は優しく彼女の手を取り、大きな箱が入った紙袋を持たせた。
「きっと似合うわよ!だって、ママが選んだんだもの!じゃ、コンテスト楽しんでね。コンテストではあなたのポケモン、いつもとは違った魅力を見せてくれるはずよ!じゃあね」
去り行く母親に、彼女は何も言うことができなかった。

もう一度ジムに行く。しかし、メリッサはそこにはいない。彼女はアドバイザーの男を締め上げた。
「おい!ジムーリーダーはどこへ行った?」
「ジムリーダーの居場所ねえ……はっきりとは言えないが、君がいろんなところに行けば戻ってくるかもな……すまん!役に立たなくて。俺のアドバイスもまだまだだな」


彼女はジムを後にした。どうにも気が治まらない。今すぐにでもあの女を叩きのめしてやりたいが、探す当てもない。腕を組み考え込む彼女に、けたたましい足音が迫り、目の前で急停止した。
「じゃーん!!待ってたぜ!シィ!!」
ジュンだ。例によって、彼女のことを待ち伏せていたらしい。だが、今日ばかりはタイミングが悪すぎた。
「おたがいどれだけ強くなったか、ここでくらべるぞ!ポケモントレーナーなら、いつだって戦えるようにしておくのは当たり前!待ったなしだぜー!!」
ジュンは早口でまくし立てる。彼女は顔を上げ、妙に明るく返した。
「……今ここで、お前に会えてよかった!

さあて……どんな風にいたぶってくれようか」
天使の笑顔は悪魔の形相に変わった。その豹変ぶりに、ジュンは恐怖した。

路上での勝負となる。彼はムックルLv.19を、彼女はハルを繰り出した。
ハルはムックルを翼で打つの一撃で叩き落し、オリアはブイゼルLv.20をスパークの一撃で倒した。勝負はまさに一瞬だった。

ジュンはハヤシガメLv.21を繰り出した。どっしりとした薄緑の体に、頭部まで延びた黄色い甲羅を背負い、葉を茂らせている。あのナエトルの進化形だ。それに対し、彼女はアロスを繰り出した。
ハヤシガメが吸い取る攻撃を仕掛けたが、鋼タイプであり特防も高いアロスのダメージは無きに等しい。アロスは怪しい光を放ってハヤシガメを混乱させ、更に催眠術で眠らせた。レビアたんに交代し、連続のつつく攻撃でHPを削り取る。
「やったな!こっちもすごいの見せてやる!」
彼の言葉とは裏腹に、ハヤシガメは無抵抗のまま、確実に追い詰められていく。まさに戦闘不能寸前というとき、ハヤシガメは意識を取り戻し、レビアたんは飛び退いて間合いを取った……

未だ混乱状態にあったハヤシガメは、自らを攻撃し、自滅した。
「何か、見せてくれるんだったな?」

最後に残ったのはポニータLv.20だ。火の粉の攻撃を、レビアたんは翼で軽く弾き飛ばした。
「決めてやれ!泡攻撃だ!」
「ポッチャ!」
レビアたんが吐き出した泡がポニータを捉えた。それは次第に勢いを増し、まるでビームのように一直線にターゲットに吸い込まれていく!
「これは、『泡』ではない!?……『バブル光線』だ!!」
「チャアア―――!!」
ポニータはその圧力に耐え切れず吹っ飛び、地面に体を打ちつけ、気を失った。彼女の勝利だ。
「なんだってんだよーッ!オレ、負けちまったよ!?」


「レビアたん、お前、ついに新しい技を自分のものにしたんだな!」
「ピィ!」
そのとき、レビアたんの体が光に包まれた。それは大きく膨れ上がり、ゆっくりと形を変化させていく。光が飛び散り、新たな姿があらわになった。
その体高は以前の2倍、ツートーンの青い羽毛に覆われたスマートな流線型のボディに、V字型の黄色いトサカが映えている。目つきは別人のように鋭い。彼は甲高く、一声鳴いた。
「ギャ――オ!」
「ポッタイシ、か……」

「うわー!また負けたのかよ!これじゃ、最強のトレーナーにいどむオレの夢が……いや!もっと強くなって勝ち続ければ、いつか……よしっ!次はトバリシティのポケモンジムに挑戦するか!じゃあな、シィ!次に会ったときのオレの成長におどろけー!」
感傷に浸るいとますら与えない。ジュンは猛ダッシュで走り去っていった。
「フフ……懲りない奴だ」

彼女の機嫌も元通りだ。

お小遣い36806円  ポケモン図鑑61匹(捕まえた数42匹)  バッジ2個  プレイ時間124:07



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#23
ヨスガシティポケモンセンター ―― 彼女は考えを廻らせていた。ヨスガジムのバッジを持っているジュンと戦うことで、メリッサのポケモンのレベルを推し量れるかとも思ったが、後から考えれば、それは意味がないことだった。
ジムリーダーは挑戦者の力量を見るため、その者が所持しているバッジの数に応じたレベルのポケモンを用意する。休業中である以上、このジムは後回しにせざるを得ない。ジュンが戦ったポケモンのおおよそのレベルがわかったところで、この先自分が戦うときには、こちらに合わせたレベルのポケモンを出されるだけ……要するに、「そのときはそのとき」ということだ。
彼女は次のジムを目指す前に、街を一回りしてみることにした。

ここヨスガシティは、毎年「シンオウ地方で暮らしたい町No.1」に選ばれるほどの住みよい街だ。バリアフリー化が進み、街路の段差は最低限に抑えられ、マンション等にはエレベーターが完備されている。街では子供や老人の姿が多く見られる。

ポケモンセンター隣の家を訪ねた。本棚に収まりきらない本やファイルがダンボールに押し込まれ、雑然と置かれている。家主の若い女はパソコンに向かってひたすらキーを叩いていたが、彼女に気づくと堰を切ったようにしゃべり始めた。
「こんちは!おっ、ポケモントレーナーやん!ほな、ポケモンボックス使てるんや!嬉しーなー!どーしたん、きょとんとした顔やで?あっ、ごめーん。一人でしゃべってた!うちの名前はミズキ!きみが使ってるパソコンのポケモンボックスを管理してるの、うちやねん!」
「……そうか」
「元々の仕組みはマサキって友達が作ったんや。で、うちなりに使いやすいよう、いろいろ改良したんよ!」
女はしゃべるだけしゃべると、再びキーを叩きだした。邪魔をしないほうがよさそうだ。

「『ポケモンだいすきクラブ』 その名の通り!」
室内ではポケモンたちが跳ね回っている。ヒゲを生やしたスーツ姿の老人が、彼女に握手を求めてきた。
「はい、どぉーも!私がポケモンだいすきクラブ会長です!あなたはポケモンをかわいがるときにどうしていますか?私はポケモンにポフィンを食べさせております。なぜならばぁ!……たとえばぁ……たとえばぁ……で、あるからしてぇ!このポフィンケースをあなたにもプレゼントしましょう!」
会長から長々と説明を聞かされ、竹で編まれたポフィンケースを受け取った。要するに、ポケモン用のお菓子「ポフィン」を食べさせることで、そのポケモンのコンディションを上げることができる、ということだ。
「全国にいろんなだいすきクラブがありますが、その中でもここが一番!何が一番かというと、それは自慢話の長さです。ですけどもぉ!長すぎてみんなに嫌がられて、今は自慢しないのです……」

ケースを持って近くのポフィン料理ハウスに行き、エプロンをしてポフィンの作り方を習う。木の実を火にかけた鍋に入れ、最初スープ状のときはこぼさないようにゆっくりと、少し固まってきたら早く、最後は全力でかき混ぜる。講師の指示通りにしたつもりだったが、焼き上がったポフィンは見事に黒焦げだった。
「……レビアたん、食べるか?」
「ギョアァッ!?」

ゴシック様式の大きな教会を一瞥して通過し、街の北にあるふれあい広場に向かう。そこはポケモンをボールから出して自由に遊ばせられる公園で、ポケモン勝負は禁止されている。彼女はキメリ(パチリス)を連れて行った。
「たまらん!ピカチュウがたまらん!!前を行く僕、追いかけてくるピカチュウ!あはは、僕たちだけの世界!むふーっ!!」
仲むつまじいトレーナーとポケモンばかりだ。場内を歩くうちに、技マシン43「秘密の力」と45「メロメロ」を拾った。奥には岩をくりぬいて作られた古代の住居の遺跡があり、その中で金色に輝くお守り小判を見つけた。これを持たせたポケモンをトレーナー戦に出すことで、もらえる賞金の額が2倍になる。

巨大なドームは今日も人の波が絶えない。最後に残ったのが、このコンテスト会場だ。
「コンテストはすぐに始まります。こちらにどうぞ!」
かっこよさ部門・ノーマルランクにキメリでエントリーを済ませ、控え室に移動する。彼女はロッカーに押し込んだままになっていた、母親からのプレゼントを出してきた。箱を開け、体にあてがってみる。フリルたっぷりの黒いショートドレスだ。
「……こんなフリフリのヒラヒラ、着ろというのか」


「最後はエントリーナンバー4番!シィさんです!」
紹介のアナウンスに、観客席から拍手が鳴り響く。ステージ上には、真新しいドレスに身を包んだ彼女の姿があった。着慣れない服に顔を赤らめている。
まずはビジュアル審査だ。部門に応じたコンディションの高さと、アクセサリーを使ったドレスアップの完成度が評価される。審査は観客が行う。
ポフィンは食べさせていない。「色つきのもの」というテーマに合わせ、彼女はキメリに赤い羽根と緑のウロコをつけた。他の参加者のポケモンは、ズバット、コリンク、チェリンボで、それぞれなかなかに決まっている。

次はダンス審査だ。1匹がメインダンサーとなってオリジナルのダンスを披露し、他の3匹はバックダンサーとなってそれに動きを合わせる。メインとバックは交代で担当し、バックに回ったときのダンスの正確さが評価される。
キメリはどうしてもワンテンポ遅れてしまう。メインのときもうまく踊ることができなかった。

最後は演技審査だ。3人の審査員の中から1人を選び、技でアピールする。他の参加者と重複しないほうが得点が高い。部門に合った技を出すことで審査員のボルテージが上がり、それを最大にしたポケモンにはボーナスが加算される。
どのポケモンも、様々な技を組み合わせて高得点を狙ってくる。キメリが使えるかっこよさをアピールする技は、スパークと電光石火の2つしかない。それらを交互に出すのが精一杯だった。

「優勝は果たして、どのポケモンなのでしょうか?それでは、審査結果の発表です!」
観客席が水を打ったように静まり返った。4人の参加者とポケモンがステージにずらりと並び、上方のメインディスプレイにこれまでの得点が順を追って表示されていく。
結局、キメリは4位に終わった。ビジュアルはまあまあだったが、ダンスの失敗が響き、演技も振るわなかった。
だが、彼女もキメリも初めてなりに全力を尽くしたのだ。悔いは……ない?
「優勝者は……」

彼女は前に立つキメリを抱え上げ、耳打ちした。
「配電盤にスパークだ」
キメリはちょろちょろと舞台裏へ走り、配電盤のカバーを前歯で壊すと、思いっ切り電撃を流し込んだ。過電流でディスプレイが火を吹き、照明が次々と弾け飛ぶ!観客席から悲鳴が上がり、暗闇に包まれた会場は一瞬にしてパニックに陥った。
「まさに、ノー・コンテスト、だな」
これが彼女だ。
騒然とした中、彼女は素知らぬ顔で袖に引っ込むと、キメリのフラッシュで周囲を照らして控え室に戻り、ドレスを脱いで再びロッカーにしまった。悠々とドームを後にする。

彼女はコンテストには向いていない……それは確かだ。

お小遣い32770円  ポケモン図鑑62匹(捕まえた数43匹)  バッジ2個  プレイ時間134:33



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#24
町を出ようと東ゲートにやって来た彼女に、男が声をかけた。
「きみきみ。ポケモンのタマゴいる?ズイタウンの育て屋さんで見つかったんだけど……よかったら、持っていくかい?」
既にポケモンを6匹連れているため、ポケモンセンターに引き返してハルを預け、男から布にくるまれたタマゴを受け取った。その大きさは15cmほど、色はくすんだ白で、所々に緑色の斑点がある。ポケモンのタマゴは種類にかかわらず、外見にほとんど差異がない。男もこれが何のタマゴなのかはわからないそうだ。
「何でも聞いた話、元気なポケモンと一緒にタマゴを連れて歩くと、タマゴからポケモンが出てくるって、ジョウト地方のウツギ博士?がそう発表したってよ」

ヨスガシティを後にし、209番道路に入る。地図によれば、次のズイタウンまではそう遠くないようだ。雑木林の間を小川が流れ、簡素な木の橋が架けられている。川辺には釣り人がいた。
「うむ!いい釣り竿は本当にいいよ!君もそう思うでしょ?」
「……ああ?」
いい釣り竿をもらった。以前にもらったボロの釣り竿よりもましな作りだ。川で試すと、トサキントやコイキングが釣れた。道々のトレーナーを倒しつつ、先に進む。

石を積み上げて作られた、塚のようなものがあった。中央には大きな丸い穴が開いている。かなり古いもののようだ。
彼女はそれを見て、208番道路で会った武道家の男の言葉を思い出した。これが男の言っていた「石の塔」らしい。要石がはまりそうな穴もある。ポケモンの回復がてら208番道路に行き、要石をカートに縛り付けて塚へと運んだ。
石を押し上げ、穴にはめ込む。それはぴたりと収まった。男は「石の声を聞け」とも言っていた。耳を澄ませてみたが、何も聞こえてはこない。土台の部分には、「御霊の塔」と刻まれていた。

草むらでピエロのような姿をしたポケモン・マネネ、そしてしぶとく抵抗されたが、ラッキーを捕獲することができた。

もうすぐ町に着くというところで、気になるものが視界に飛び込んできた。オベリスク型をした灰白色の大きな尖塔だ。近くにいた男の話によれば、名前を「ロストタワー」といい、命を終えたポケモンたちの魂が眠る墓塔であるらしい。何が出るのかわからないが、幸い手持ちは回復を済ませたばかりで、体力にも余裕がある。彼女は前の林で技マシン47「鋼の翼」を拾い、塔の中へと足を踏み入れた。

薄暗い室内には、外とは違うひんやりとした空気が満ち、苔の生えた床にはぽつりぽつりと墓標が立っている。ゴースやズバットといった野生ポケモンを避けながら階段を昇る。2階に着くと、墓標の数が急に増えた。棺も多数並んでいる。
「でっ、出た!お化け!助けて、僕のポケモン!」
棺の陰から少年が青ざめた顔で飛び出し、ポケモンを出した。こんな墓地にまでトレーナーはいる。スカンプーをオリアのスパーク、カラナクシをアロスの神通力、コロトックをバラクの突進で次々と倒した。突進の反動は、ヨスガのマンションでもらった貝殻の鈴で多少はカバーできる。これは攻撃で相手にダメージを与えたとき、自分のHPをわずかに回復させる道具だ。
それにしても、彼は何を見たのだろう?

「ここに、来ると、なぜだか、戦いたくなるのだぁ……!?」
男の目は虚ろだ。どうも様子がおかしい。男は薄い黄色をした子ねずみポケモン・ピチューを繰り出した。ピチューは精一杯愛嬌を振りまいている。彼女はベリトを出し、にべもなくそれを斬り捨てた。二回り大きいねずみポケモン・ピカチュウともう1匹のピチューは、バラクが突進で吹っ飛ばした。
3階、4階と上に行くに従い、勝負を仕掛けてくるトレーナーの数は増えていった。

技マシン27「恩返し」を拾い、5階に上がると、そこには真っ白な髪をした双子の老婆がいた。ここが最上階だ。
「このロストタワーは、死んだポケモンの魂を鎮めるための場所……長く生きたもの、短く生きたもの……どんな魂も安らいでいい」
「そうだな」
「よく来てくれたね。この秘伝マシン、持っておゆき」
1人から秘伝マシン04「怪力」のディスクを受け取った。
「秘伝の技、怪力を使うなら……どこだったか忘れたが、とにかくポケモンジムを巡りなさい」
「行きはよいよい、帰りは怖い、だ。これを持っておゆき」
もう1人から清めの御札を受け取った。これを先頭のポケモンに持たせると、野生のポケモンがあまり姿を見せなくなる。
彼女は階段を降り、塔を後にした。不思議な、何かの力が働いているような場所だった。

「ここはズイタウン 気ままに暮らせる町」
ジーンズやオーバーオールにテンガロンハット、という格好の人が多い。牧畜が盛んな町のようだ。
さっそくポケモンセンターに行き、戦い疲れたポケモンたちを預けた。これまでの戦いで、ベリト、バラク、アロスがLv.21に、オリアがLv.22になっていた。もう、アロスに学習装置は必要ない。回復はすぐに終わり、係の女がボールの乗ったトレイを持ってきた。
「お預かりしたポケモンに、ポケルスがついているようです。詳しいことはわかっていませんが、ポケルスというのはポケモンにくっつく小さな生命体だそうです。これがついている間、ポケモンがよく育つみたいです」
「あそこでもらって来たらしいな……」

現代においても、解き明かされない謎はまだ多い。

お小遣い58046円  ポケモン図鑑64匹(捕まえた数46匹)  バッジ2個  プレイ時間144:00

INDEX 目次前項21222324メモ次項