P‐LOG ダイヤモンド編
#13 |
---|
彼女はパチリスを、モミはラッキーを繰り出した。パチリスは電光石火でミミロルの体力を削りにかかる。ラッキーがお腹の袋から小さな卵を取り出し、ケムッソに投げつけると、それは爆発した。卵爆弾だ。ケムッソの毒針で毒をくらったパチリスを戻し、代わりにスボミーを繰り出す。メガドレインでミミロルのHPを程よく減らし、さらに痺れ粉を浴びせて麻痺させた。
「もう攻撃しなくていい。後はボールを投げ……」
言い終わるよりも早く、ラッキーは卵爆弾を投げつけ、ミミロルに止めを刺した。彼女は驚き、モミを見た。完全に目が据わっている。さっきまでとは別人のようだ。
モミはパチリスにモモンの実を食べさせ、毒を中和させた。
「あたしのポケモン、回復は得意なんだけど、攻撃は苦手なのよね……」
そう言って、申し訳なさそうに笑っている。
絶対、嘘だ……彼女はキレ気味だった。
苔むした岩の近くで、2人は休憩を取った。モミとラッキーはレジャーシートを敷いて座り、オレンの実を食べている。すっかりピクニック気分のようだ。彼女とポケモンたちもオレンの実を分けてもらった。彼女はモミを横目で見つつ、ムクバードを呼び、こっそり耳打ちした。
「……わかったな?」
「ピルルッ!」
草むらに入ると、今度はミミロルが2匹現れた。ムクバードとラッキーが出る。
「おい、後ろ!」
彼女が叫んだ。その声に、モミとラッキーは思わず後ろを振り返った。
そのときだ。ムクバードはくるりと旋回すると、急加速して背後から翼で打つ攻撃を仕掛けた。不意を突かれたラッキーは吹っ飛び、モミを直撃した。モミとラッキーは折り重なって気絶している。今のうちだ!
電光石火でミミロルのHPを減らし、スボミーに替えて痺れ粉を浴びせる。しかし、ミミロルたちの位置が重なり、モンスターボールの狙いが定まらない。やむを得ず片方をメガドレインで倒し、ボールを投げた。捕獲完了だ。
しばらくして、モミとラッキーが目を覚ました。2人とも、何が起きたのかわからない様子だ。
「安心しろ、襲ってきた野性ポケモンは追い払った。なかなか凶悪な奴だったぞ!」
彼女はニヤリと笑った。
「あれはさっきの!」
「奴だ!」
その後もモミとラッキーをぶっ飛ばし続け、蝶々ポケモン・アゲハント、暗闇ポケモン・ヤミカラスを捕獲した。
森にいるのは野性ポケモンばかりではない。トレーナーもだ。彼女は一緒に戦っていて気づいたが、ラッキーは卵爆弾以外の攻撃技を使うことはなかった。「攻撃が苦手」というのも、あながち嘘ではないようだ。
「不思議な気配……君からも感じられるぞ!」
「この森って、どこか不思議……力がみなぎってくるわ……」
ゆったりとした紫色の服を着た男女が、2人の行く手を遮った。なぜか、足は裸足だ。通称サイキッカー、自称超能力者だ。彼らが本当に超能力が使えるのかは、定かではない。
サイキッカーたちは人型をした青いポケモン・アサナンとコダックを繰り出した。2人はミツハニーとラッキーだ。アサナンは目覚めるパワー、コダックは引っかく攻撃を仕掛けた。素早さの高いアサナンを風起こしと卵爆弾で集中攻撃し、先に倒す。
ダメージを受けたラッキーは、小さな卵を頭上で弾けさせてそのエネルギーを吸収し、体力を回復させた。卵産みという技だ。その間にミツハニーをパチリスに替え、スパークと卵爆弾でコダックを倒した。2人はここまで何組かのトレーナーと戦ってきたが、次第に息が合ってきているようにも見える。
男のほうが気になることを口走った。
「森の洋館……あそこから何かの気配を強く感じる」
「シィさんと一緒に戦うのって、ワクワクする!あなたが何をするのかわかれば、すごいコンビネーションになるわ!」
ひたすら北へと進む。次第に森が開け、道は明るくなってきた。
「あっ!出口!」
「森を抜けるまで、という約束だったな」
「よかった……ここまで来れたんだ。あたし一人だったら、絶対に無理だったわ!ありがとう、シィさん!」
「ああ、おかげで退屈しなかった」
彼女は笑顔で答えた。その言葉に嘘はない。モミはぺこりと頭を下げ、森の出口へと歩いていった。
ふと横を見ると、石と鉄で作られた柵があった。ツタがびっしりと絡まり、所々が壊れている。いったい何年放置されていたのだろう、かつて門だった場所には木が茂っている。柵の向こうに続く道の先には、古めかしい建物が見える。サイキッカーの男が言っていた、「森の洋館」だろうか?
森を抜け、再び205番道路に戻る。目の前に大きな池が広がった。そこには池を横断する長い桟橋が架けられ、多くの釣り人たちで賑わっている。当然のごとく、彼らもトレーナーだ。勝負となる。コイキングや金魚ポケモン・トサキントを次々と倒し、橋を渡りきる頃には、パチリスはLv.14、ミツハニーはLv.15に、ポッチャマ、ムクバード、ルクシオの3匹はLv.17になっていた。
街並みが見えてきた。ハクタイシティだ。
お小遣い8144円 ポケモン図鑑43匹(捕まえた数30匹) バッジ1個 プレイ時間48:32
#14 |
---|
新しい町に来たら、まず最初にその町のポケモンセンターを探す。それがポケモントレーナーのセオリーだ。ハクタイのポケモンセンターは、町に入ってすぐの場所にあった。
しかし、彼女は別のものに興味を惹かれた。赤い屋根の向こうに見える、威圧感のあるダークブルーのビルだ。側面にはトゲのような突起があり、いっそう怪しげな雰囲気をかもし出している。
「おっと、そこのトレーナー」
ビルに近づこうとした彼女を呼び止めたのは、ギンガ団の男だ。
「何だ?今すぐブッ飛ばして欲しいのか?」
「むむむ!お前はちょいと強そうだな。ポケモンを取るのはあきらめ……いや、許してやろう!」
「『ギンガハクタイビル』 ポケモン募集中!」
どうやら、このビルはギンガ団のものらしい。彼らはここで何をしようとしているのだろうか?
この町にはポケモンジムもある。彼女は図鑑を開き、手持ちのポケモンの状態を確認した。ジムに挑戦するにしろ、ギンガ団のビルに乗り込むにしろ、レベル的には問題なさそうだ。
「あら、ポケモン図鑑?ナナカマド博士のお手伝い?」
いつからそこにいたのだろう、彼女の隣には若い女が立っていた。背はかなり高い。薄い翠の瞳、雪のように白い肌、緩やかにカールしたブロンドは左目を隠し、後ろは腿に達している。髪飾り、胸元が開いたファー付きのロングコート、ブーツカットのパンツ、ヒール、その全てが黒で統一されている。女は髪をかき上げ、彼女の瞳を覗き込んだ。
「君の名前は……?」
女は彼女の右手を取り、手首のバングルに目をやった。彼女は女のなすがままにされている。女の右手首に、彼女と同じ灰色をしたバングルがちらりとのぞいた。
「!!」
「そう、シィっていうの。覚えておくわね!あたしはシロナ。ポケモンの神話を調べてる、物好きなポケモントレーナーよ」
女は道のその先に視線を向けた。小高い丘が見える。
「このハクタイには、大昔のポケモンをかたどったポケモンの像があるの。なんでも、凄い力を秘めたポケモンだった、って残されてる。君もポケモンを探していれば、そんなポケモンに出会うかもね。そうだ!これ、使ってみたらどう?」
彼女は秘伝マシン01「居合い切り」のディスクを渡された。
「居合い切りを使うと、行けなかった場所に行ける。それって、ポケモン図鑑に大事なことでしょ。じゃあ頑張ってね、トレーナーさん」
女は微笑みを残し、長い髪をなびかせながら去っていった。
彼女は町外れの丘に登った。女が言っていた、ポケモン像がある場所だ。
縦に長く伸びた頭部、4本の脚、扇状の尾羽、長い尾……像は鹿のような、竜のような、不思議な姿をしている。念のため図鑑を向けてみたが、やはり認識はしない。石造りの台座にはめ込まれた銘板を読んでみる。
「うみだされし ディア…… わたしたちに じかんを あたえる」
「わらっていても なみだを ながしてい…… おなじ じかんが ながれ……」
「それは ディア……の おかげだ」
所々文字が欠け、意味が取れない。彼女は顔を上げ、ポケモン像を仰ぎ見た。
「ドクンッ!」
心臓が大きな拍動を刻んだ。一瞬、像の眼がこちらを向いたような気がした。
「このポケモン……知っている!」
彼女は膝をつき、その場に座り込んだ。自分と同じバングルをした女、そして謎のポケモン…………
だが、記憶は戻らない。こんな断片から、どうすれば全貌にたどり着けるというのか!
どうにもならないもどかしさに、彼女は両拳を地面に打ち付けた。
ふと、目の前に広がる街並みの中で、オレンジ色の屋根を持つ大きな建物が目に留まった。ポケモンジムだ。
彼女は立ち上がった。今、この気分を晴らすことができる場所は、それ以外にない。
「ハクタイシティポケモンジム リーダー・ナタネ 映える緑のポケモン使い」
ポケモンセンターでメンバーを整えてきた。ポッチャマLv.17、ムクバードLv.17、ルクシオLv.17、コロトックLv.16、スボミーLv.16、ミツハニーLv.15の6匹だ。
扉を開けると、ヒゲとサングラスの男が出迎えた。クロガネジムにいた男だ。
「オーッス!未来のチャンピオン!って、さっきスピード感あふれる少年にも言ったけどな」
ジュンのことだ。柱のプレートにも既にその名がある。しかし今、彼女にとって、それはどうでもいいことだった。
「ここのジムリーダー、ナタネは草タイプの使い手!草タイプのポケモンは炎を嫌っているぞ!いいな。おっと、それ以前に、ジムについてのアドバイスだ!」
「どけ」
彼女は話し半ばに男を押し退けた。その向こうに、少女が立っているのが見えた。少女はいら立つ彼女を見て、笑っていた。
ボブカットの明るい茶色の髪、ショート丈の黒のインナーの上に緑のケープを羽織り、茶のショートパンツ、緑のブーツを履いている。草タイプのジムらしい、アースカラーの装いだ。
「……お前がジムリーダーだな?」
少女はうなずくと、顔を近づけ、彼女の顔をじっと見た。よくわからないが、満足げな様子だ。
「このポケモンジムは、隠れているトレーナー全員に勝つとジムリーダーと戦えるの。じゃあ、奥で待ってるからね。よろしくね、チャレンジャーさん!」
今、運命が動き出した。
お小遣い8144円 ポケモン図鑑43匹(捕まえた数30匹) バッジ1個 プレイ時間49:06
#15 |
---|
森だ……ジムの中に森がある。樹木が茂り、草が生え、日光が降り注いでいる。天井は無く、壁には空と雲が描かれている。ハクタイジムの建物全体が、緑を収める巨大な額縁となっていたのだ。
それはともかく、トレーナーを探さねばならない。野性ポケモンこそいないものの、ここは自然の森となんら変わりない。正面方向に進むと、特別に整地されたバトルフィールドが現れた。ジムリーダー専用のものだが、本人はそこにはいない。そこから少し歩くと、人影が見えた。1人目のトレーナー、ミニスカートの少女だ。
「よく見つけたわね!じゃあ、勝負しましょ!」
相手はチェリンボLv.15だ。彼女はコロトックを繰り出した。コロトックが斬りかかると、チェリンボは宿木の種を飛ばし、コロトックに植え付けた。相手の体力をじわじわと奪い取る技だ。コロトックは逆に吸血攻撃で体力を吸い取り返し、チェリンボを倒した。
次はロゼリアLv.15だ。スボミーの進化系で、両手に赤と青の花を一輪ずつ咲かせている。ルクシオに入れ替え、連続で噛みつく攻撃を仕掛ける。痺れ粉やメガドレインで反撃されたものの、ロゼリアを押し切った。
「うん、次のトレーナーは、2つの石ころが置かれた小道の突き当たり……かな」
ヒントを頼りに、迷路のように入り組んだ木々の間を抜け、ジム内を歩いて回る。それがしばらく繰り返された。
女のロゼリアを、ムクバードの翼で打つの一撃で倒した。これで4人目だ。
「ウフフ!後はジムリーダだけ。さあ、頑張って!」
「待ってたよ!」
声が響く。1本の木ががさがさと鳴り、人が飛び降りてきた。先の緑のケープの少女だ。
「あたしがハクタイのジムリーダー!草タイプの使い手、ナタネ!さっき見たとき、あなたは絶対にここまで来る!そう思ったんだけど、ズバリだったよ!なんていうか、そんな雰囲気出してる、あなた」
「だろうな」
「うーん!とにかく、ポケモン勝負しよーよ!」
ナタネはチェリンボLv.19を繰り出した。それに対し、彼女が繰り出したのはポッチャマだった。それを見たナタネは少し不思議そうな顔をした。草タイプの攻撃が弱点の、水タイプのポケモンをこの場で出すなど、普通はありえないことだからだ。
「戦ってみればわかるさ……ポッチャマ、つつく攻撃!」
「ポ――チャアッ!」
ポッチャマが飛びかかった。くちばしを勢いよく振り下ろし、チェリンボに大ダメージを与える。チェリンボはポッチャマに宿木の種を植え付けた。足に草を絡ませ転倒させる、「草結び」という技も使われたが、ダメージはそれほどでもない。ポッチャマは宿木の吸収を耐え、つつく攻撃でチェリンボを倒した。
「感心するのはまだ早い」
その言葉に、ナタネは彼女をキッとにらんだ。
2匹目はナエトルLv.19、彼女はスボミーだ。スボミーは痺れ粉を浴びせ、ナエトルを麻痺させた。その隙に成長を繰り返し、特攻を上げていく。ナエトルは何度も草結びを仕掛けてきたが、草タイプの攻撃によるダメージを4分の1しか受けない、草・毒タイプのスボミーにとっては、かすり傷程度のダメージでしかない。
特攻が十分に上がったところで、メガドレインで相手の体力を少しずつ吸い取っていく。ナエトルはリフレクターを張って防御を高め、葉っぱカッターで反撃した。しかし、それも無駄なあがきだ。リフレクターの効果が切れた瞬間を狙い、メガドレインでわずかに残った体力を吸い尽くし、ナエトルに止めを刺した。
ナタネは最後のポケモン、ロズレイドLv.22を繰り出した。スボミー、ロゼリアの最終進化形……ブーケ状に寄り合って咲く両手の赤と青の花、頭部の純白の綿毛、マントのように広がった背中の葉と、草ポケモンの女王と呼ぶにふさわしい気品に溢れている。
ムクバードが出る。彼女は勝負を決めにかかった。
「……詰んだな」
「まだ、終わりじゃないもの」
ナタネは笑みを浮かべた。その言葉は虚勢などではない、自信の表れだ。飛行対草、タイプ相性では、彼女のほうが圧倒的に有利なはずだ。だが、ポッチャマ対チェリンボの例が示しているように、相性とは戦いにおける一条件に過ぎない。
ロズレイドが軽やかな動きを見せた。そのスピードは、素早さの高いムクバードをも上回っている。ロズレイドは両手の花から痺れ粉を噴き出し、ムクバードに浴びせかけた。いかにレベル差があるとはいえ、鳥ポケモンが草ポケモンに先手を取られることなど、ないはずだった。
ムクバードは麻痺しつつも、ロズレイドに向かって突進し、すれ違いざまに翼で打つ攻撃を仕掛けた。リフレクターは使ったポケモンが倒れても、しばらくの間効果が持続する。先のナエトルとの戦いで、その効果が切れるまで攻撃を待ったのも、最後のポケモンをこの一撃で確実に倒すためだった。
だが、ロズレイドはまだ立っている。しかも、持っていたオボンの実の養分を吸収し、体力を回復させてみせた。
「何ということだ……!」
彼女は驚きを隠せなかった。ロズレイド、そして、ジムリーダー・ナタネ……何という強さだろう。
だが、それがいい。強敵こそが気を高ぶらせる!彼女は最高の気分だった。
ロズレイドの両手から、切れ味鋭い草葉が次々と放たれた。激しい攻撃に、空中のムクバードは体勢を崩した。マジカルリーフ、その攻撃からは決して逃れられない。
「絶対不可避の技……ならば、その中心に飛び込め!!」
「ピイィ――――!!」
ムクバードは全身に攻撃を受けながら、ロズレイドに向かって急降下した。マジカルリーフの威力はすさまじく、タイプ相性をも凌駕するパワーに、ムクバードはHPの半分を失った。だが、真正面から受ける限り、体勢を乱されることはない。ついに、相手の懐に入り込んだ。
「打ち伏せろ!」
ムクバードは両手の花をめがけ、翼を叩きつけた。ロズレイドは花びらを舞い散らせ、ゆっくりと倒れた。
「すごい!あなた、とっても強いんだ!」
「あらためて言うけど、あなた強いんだ!それだけポケモンを育てるの、大変だったでしょ?でも、それがあなたのポケモンへの愛情ってヤツだよね」
「その言葉、そのまま返させてもらう。いい勝負だった」
ナタネは照れた様子でポケットからバッジを取り出すと、一度咳払いをし、ジムリーダーらしい丁寧な言葉遣いで言った。
「それを認め、これをお渡しします!」
フォレストバッジを受け取った。銀の地に3本の緑の木、すなわち「森」をかたどったデザインをしている。
「そのフォレストバッジで居合い切りって秘伝、使えるようになるから!あと、これも持っていってよ!あたしからのプレゼント!」
技マシン86「草結び」 ―― 相手の体重が重いほど、与えるダメージが増加する技だ。
「うん!あたしにはわかるよ。あなたとポケモン、絶対に強くなる!」
ナタネは無邪気に笑った。
「おお!シィ!ジムリーダーに勝ったのか!おお!お前のポケモン、来たときよりもたくましくなった!そんな印象だな」
「ああ」
男の呼びかけに、彼女は一言返した。この戦いでミツハニーはLv.16、スボミーはLv.17、ポッチャマはLv.18、ムクバードはLv.19になった。ハクタイジムを後にする。
右手のバングルが光を放ち始めた。クロガネジム戦を終えたときと同じだ。次第に文字が浮かび上がっていく……
彼女は確信した。新たな文字が現れる条件、それはジムリーダーに勝利し、ジムバッジを得ること。
やがて光は消え、元の灰色に戻った。ポケモンたちの回復のため、ポケモンセンターに向かう。
3番目の文字は「 F 」、「 C I F 」と文字は並ぶ。
お小遣い13000円 ポケモン図鑑45匹(捕まえた数30匹) バッジ2個 プレイ時間50:01
#16 |
---|
「コロトック、居合い切りだ」
「ティルルゥッ!」
コロトックは構えるとナイフのような腕を一閃し、木は音を立てて倒れた。堂々とビル内に侵入する。
彼女に気づいた団員が詰め寄った。
「ワレワレは凄いことをするため、ポケモンを集めているのです。邪魔はさせません!」
男はケムッソを繰り出した。ポッチャマが出る。
「つつく攻撃!」
「ポッチャ!」
ポッチャマはケムッソを一撃で倒した。次のマユルドも体当たりをかわし、つつく攻撃で倒した。今は我慢のとき……ただひたすらに戦いを重ね、新たな技を得るための経験値を蓄えるのだ。
「それで、ここで何をするつもりなんだ?」
「凄いことは凄いことです。何が起きるのか知りたければ、邪魔をしないことです!」
2階への階段を登る。そこはコンピュータールームになっていた。団員たちはパソコンに向かい、黙々と作業をこなしている。彼らを締め上げて聞き出したところでは、ポケモンが持つ不思議な力から、新しいエネルギーを作り出す研究をしているらしい。ポケモンを集めているというのも、その実験台にするためのようだ。団員たちを次々と倒し、先に進む。
上の階に上がろうとする彼女の前に、白衣を着た研究員が立ちふさがった。
「ワレワレはボスが創り出す新しい世界のため、いろいろと動いているのだ!」
男はユンゲラーを繰り出した。黄色いキツネのようなポケモン、ケーシィの進化形だ。彼女はポッチャマを繰り出した。ユンゲラーはスプーンをかざし、念力を放った。技の威力は高くない。はたく攻撃を食らいよろめくユンゲラーを、ポッチャマは男もろとも吹っ飛ばした。ポッチャマはLv.20になった。
「出世のためならどんなことだってする……!いつか、ギンガ団の本当の素晴らしさ、凄さを思い知れ!」
「……はたく攻撃!」
ビルの最上階にたどり着いた。広いフロアの中央には、ガラスのローテーブルと革張りのソファーが置かれ、男と女が向かい合っていた。その脇にはポケモンが入れられた檻があった。
ジャンパーを着た中年の男は立ち上がり、声を荒げている。髪を上下2つに結い分け、白と黒に色分けされたユニタードを着た若い女は、足を組んで座り、男を無視してマニキュアを塗っている。女は彼女に気づき、ボトルの蓋を閉めた。
「ギンガ団の幹部だな?」
「何か用かしら?と、聞くまでもないわね。ポケモンを取り返すのね」
「違うな……ここへは目障りな連中を片付けるために来た。お前で最後だ」
ギンガ団の女はため息をつくと、けだるそうに立ち上がった。
「いいわ!相手してあげましょう」
女はズバットLv.18を、彼女はポッチャマを繰り出した。ポッチャマは噛みつく攻撃にもひるまず、はたく攻撃を浴びせた。
「やってくれる」
女は片眉を吊り上げ、つぶやいた。ズバットはギガドレインでポッチャマの体力を吸い取った。苦手な草タイプの技だが、ズバットの特攻は低く、ダメージは知れている。じわじわと押し、はたく攻撃でズバットを叩き落した。
女は続けて、スカタンクLv.20を繰り出した。四つ足の獣型のポケモンで、ふさふさとした大きな尾を前方に向けている。独特な臭いや体色の紫からして、毒タイプのようだ。彼女はムクバードを繰り出した。
スカタンクは跳び上がり、鋭い爪で斬りかかった。辻斬りという技だ。攻撃を受けたムクバードのHPが、一気に半分近くにまで減った。威嚇で攻撃が下がっているにもかかわらず、この威力だ。ムクバードが翼で打つ攻撃を仕掛けると、スカタンクは煙幕を噴き出し始めた。毒ガス攻撃は直前でかわしたものの、室内に充満する煙が視界を奪い、ターゲットが定まらない。スカタンクはオボンの実で体力を回復させつつ、煙幕を出し続け、その濃度を高めていく。相手のHPは残り少ないはずだが、最後の一撃が決まらない。
突然、ムクバードは辻斬りを食らい、戦闘不能になる寸前にまで追い詰められた。もう、後がない。
「攻撃に移る瞬間の足音を聞き逃すな!敵はそこにいる!」
短い足音、風切り音、そして打撃音がした。換気装置が働き、次第に煙が晴れていく。床に倒れたスカタンク、しっかりと立つムクバードの姿が見える。電光石火が決まったのだ。ムクバードはLv.20となった。
「お子様に負けるだなんて、油断って怖いわね」
「油断?本当にそうだったのか?」
女の眼が鋭さを増す。
「ふうん、強いのね……いいわ。ポケモン像の調査も終わった、発電所のエネルギーもマーズが集めた。ひとつだけ教えてあげる。ボスは神話を調べ、伝説ポケモンの力でシンオウ地方を支配する……」
「あのポケモンのことを何か知っているのか?答えろ!」
「あなた、ギンガ団に逆らうのはやめておきなさい。では、失礼」
ギンガ団の女は煙とともに姿を消した。
「おお!君のおかげでピッピを取り戻せたよ!!」
男は笑顔でピンク色のポケモンを抱え上げた。
「それにしても、ギンガ団……『ピッピは宇宙から来たポケモンだからよこせ』って……意味がわからなさ過ぎる。まるで宇宙人だな。まあいいや!君、ありがとう!お礼をしたいから、後で自転車屋に来ておくれ!」
「自転車?」
ギンガ団が狙う伝説ポケモン、その力とは?
お小遣い18000円 ポケモン図鑑47匹(捕まえた数30匹) バッジ2個 プレイ時間50:56