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P‐LOG ダイヤモンド編

#57
「ポケモンリーグに挑む資格があるか、確かめよう!」
黒衣姿の壮年の男はトレーナーケースを開いた。
「あなたがシンオウ地方を廻り、手に入れたバッジは!クロガネのコールバッジ!ハクタイのフォレストバッジ!トバリのコボルバッジ!ノモセのフェンバッジ!ヨスガのレリックバッジ!ミオのマインバッジ!キッサキのグレイシャバッジ!そして!ナギサのビーコンバッジ!」
バッジ名を高らかに読み上げる。背後の扉が開き、男は身を引いた。
「よろしい!シンオウ地方のジムバッジを全て持つトレーナーよ。その力をここでも発揮し、栄光を勝ち取ってみよ!」

手持ちは、レビアたん(エンペルトLv.47)、オリア(レントラーLv.47)、アロス(ドーミラーLv.47)、アスタ(フワライドLv.47)、バッサ(ルカリオLv.47)、フォウ(ガバイトLv.47)の6匹。
彼女はマントを翻し、表情を変えることなく奥へと進んでいった。

丸い天窓から青空が覗く。内装は先程までの古式ゆかしい装飾が消え、現代的で無機質なものに変わった。
回廊で結ばれたポケモンリーグ5本の尖塔、そこには全ポケモントレーナーの頂点に君臨する最強のトレーナー、チャンピオンと四天王がいる。チャンピオンは6体、四天王はそれぞれ5体のポケモンを持ち、続けてその全てを倒さねばならない。
リフトを上った先には大きな鉄製の扉があった。


四天王一の間 ―― 中に入ると、扉がギロチンのように閉じた。辺りをぐるりと見渡す。激しい戦いに耐え得るよう、全面が補強されている。長方形のバトルフィールドはジムとそう変わらない。
床には青緑色をした石盤が敷き詰められている。彼女は片膝を突き、その目地を指でなぞった。指先に付いたのは細かな銀色の粉末、虫ポケモンの鱗粉だ。

「ハーイ!ようこそ!ポケモンリーグへ!ボクは四天王のリョウです。ヨロシク!」
十代半ばほどの少年が、にこやかに呼び掛けた。前髪の一束が角のようにぴんと立っている。上はオレンジのラインが入った黒のベスト、下はオレンジのパンツだ。視界には入っていたが、彼女は気にも留めていなかった。
「……」
「あっ、ボク虫ポケモン好きなんで!だって虫ポケモン、かっこいいし、きれいでしょ!そう!ボク、虫ポケモンのようにパーフェクトになるため、ここで挑戦者と戦っています!」
「そうか……小僧、四天王の力とやら、早く見たい」
彼女は立ち上がり、モンスターボールを手にした。リョウは笑った。小僧?そういうキミはいくつなんだい、と。
「では、相手させてもらいます!」


リョウはドクケイルLv.53、彼女はバッサを繰り出した。レベル差は程々といったところだ。
バッサは構えを取り、悪の波動を放つ。ドクケイルは羽を振動させ、キーンという高周波音を発した。虫のさざめきという技だ。受けるダメージはドクケイルの等倍に対し、バッサは4分の1。バッサが圧倒していたが、ドクケイルは光の壁を張って守りを堅め、更にリョウが回復の薬を使ってHPを全快させた。
バッサは悪の波動を放ち続ける。光の壁が消え、ドクケイルは影分身を始めた。必中の波導弾で止めを刺す。

次はヘラクロスLv.54、彼女はアロスを出した。アロスは辻斬りを耐え、催眠術でヘラクロスを眠らせた。ジャイロボールを食らわせ、アスタに替わる。最初から出さなかったのは、ヘラクロスが使うであろう悪・岩技を警戒してのことだ。アスタは距離を取り、サイコキネシスで攻撃する。
ヘラクロスが目を覚ました。大きな角を標的に向け、羽を開いて一直線に飛ぶ。メガホーンだ。攻撃はわずかに逸れ、アスタは至近距離からサイコキネシスを放った。ヘラクロスは気を失い、背から落ちた。彼女はフンと笑った。

リョウは少し考え、ボールを投げた。現れたのは、赤紫色をした化けサソリポケモン・ドラピオンLv.57だ。スコルピの進化形でタイプは毒・悪、全身が頑丈な甲羅で覆われ、腕と尾には毒が染み出す鋭い爪を持つ。彼女はレビアたんを出した。
ドラピオンは素早く間合いを詰め、氷の牙で噛み付いた。レビアたんは波乗りを使い、水圧で引き剥がす。
シザークロスと鋼の翼の激しい斬り合いとなる。深手を負ったドラピオンは手持ちのオボンの実を食べ、やや回復した。対するレビアたんは余裕の表情だ。肝心の毒は無効、他の技も半減以下。リョウは頭を抱えた。
「策が尽きたか……では、片付けに入るとしよう」
レビアたんは燕返しを軽く止め、波乗りでドラピオンを押し流した。

アゲハントLv.53を、オリアがスパークで落とす。
リョウはビークインLv.54を、彼女はフォウを出した。蜂の巣ポケモン・ビークインは、その名の通り下半身が半球状の巣となっており、中には子のミツハニーたちが収まっている。
「フォウ、ストーンエッジ!」
「キュオゥ!」
フォウは鋭く尖った岩の一群を矢のように飛ばした。攻撃を全身に受け、ビークインはあっさりと落ちた。
そのとき、フォウの体を光が包んだ。それは膨らみ弾け、新しい姿を見せる。腕脚尾は長く伸び、顔付きはより精悍さを増した。マッハポケモン・ガブリアスだ。


「ボクの負けだ。だけど虫ポケモンの素晴らしさ、ポケモンリーグの凄さ……そしてポケモン勝負の奥深さ、キミに伝わったと思う」
リョウはポケモンをボールに戻し、言った。
「一番美しく一番強い虫ポケモンで負けたのは、ボクが甘いからだ。よし!きたえ直します!ということで、応援ヨロシクです!じゃなかった……次の部屋にどうぞ!あと3人、ボクよりも強いトレーナーが待ってますから!」
「だろうな。そうでなくては面白くない」
ボクは、強くて美しい虫ポケモンに負けないだけの最高のトレーナーになります!」
敗れてなお、へらへらと笑っている。強者を自負するが故の余裕か、それとも生来のものだろうか。

彼女は四天王の実力の一端を垣間見た。しかし、これは序章に過ぎない。

お小遣い857953円  ポケモン図鑑203匹(捕まえた数191匹)  バッジ8個  プレイ時間999:59



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#58
回廊を歩き、四天王二の間に着いた。扉が開く。
部屋の中央には、小柄な白髪の老婦人が立っていた。白いハーフコートを着、首に茶色のマフラーを巻いている。表情は柔和そのものだ。だが、何かがおかしい。
床に目を向ける。石盤はカーキ色、目地には粒の粗い黄色い砂と、細かい黒い泥がびっしりと詰まっている ―― 彼女は一瞬で理解し、考えを廻らせた。ボールを見比べ、ヒールボールを先頭に置く。

「悪いが、年寄り扱いはしないつもりだ」
「おやおや。可愛らしい、それでいて頼もしいトレーナーだね。おほほ!あたしはキクノ。特に大事にしているのは、地面タイプのポケモンね」
キクノは上品に笑い、優しげに言った。
「知っている。どう倒すかも、もう考えた」
彼女はそっけなく返した。キクノは笑顔で聞いている。
「ほほほ!じゃあ、お婆さんが、どれだけやれるか見てあげますよ」
やや窪んだその目は、淀んで見えた。


繰り出したのは、キクノがヌオーLv.55、彼女がアスタだ。彼女の手持ちには、地面技を弱点とするものが3体もいる。だから、飛行タイプを持つアスタを先頭に置いた。アスタはシャドーボールを放ち、ヌオーは影分身をした。相手は持久戦に持ち込むつもりらしい。
サイコキネシスを受けたヌオーは砂嵐を巻き起こした。アスタは振り向き、彼女をすっぽりと覆うドーム状の防壁を張った。これでトレーナーは砂塵から守られる。それに比べ、キクノは遮るものが何もないまま砂に吹かれている。ただ微笑み、それを気にする様子も見られない。
アスタがシャドーボールを放つ。守るで防がれたが、次が命中し、ヌオーは倒れた。

次は真似ポケモン・ウソッキーLv.56。樹木のような外見をしているが、岩タイプだ。フォウを出し、地震で倒す。
メガトンポケモン・ゴローニャLv.56。ゴローンの進化形で、球状の岩の体に手足が生えている。レビアたんが波乗りで倒す。
キクノは笑い、4個目のボールを手にした。
彼女は考えていた。目地の砂と泥、その出所であろうポケモンはまだ姿を見せていない。どちらで来る?

ボールから現れたのは、重量ポケモン・カバルドンLv.59。砂だ。濃い灰色の巨体は乗用車ほどのボリュームがある。背中の穴から噴き出す砂により、砂嵐は激しさを増した。
アロスを出す。特性・浮遊で地面技は効かない。カバルドンは大きな口を開け、牙を剥いた。噛み砕く攻撃だ。アロスはそれを耐え、催眠術を掛けた。バッサに替え、眠るカバルドンに波導弾を撃ち込む。
2発目でカバルドンが目を覚まし、反射的に噛み砕く攻撃を仕掛けた。バッサは波導弾を撃って砂塵に消える。キクノが回復の薬を使い、カバルドンは大きく吼えた。
「ガア――ッ!」
「大した食欲だ。ならば、残さず食らうがいい」
その眼前にバッサが現れた。口の中に波導弾を連続で叩き込む。回復が追いつかない。カバルドンは意識を失い、大口をがくんと閉じた。鼻の穴から煙が漏れる。

泥。最後の1体、ドジョッチの進化形、ナマズンLv.55は泥水を呼び、フィールド上に広げた。彼女は再びアロスを出した。
ナマズンは岩雪崩を起こし、泥をかいてアクアテールを仕掛ける。アロスは妖しい光を放ってそれを受け止め、催眠術で眠らせる。替わったアスタはシャドーボールを連射した。キクノはうつむき、何か口を動かしている。
「……フン」
彼女は不機嫌だった。止めのシャドーボールを食らい、ナマズンはぐったりと動かなくなった。
砂嵐が止む。地面技を一度も出させることなく、勝負を付けた。彼女はアスタをボールに戻した。


キクノは顔を歪め眼を剥き、隠し持っていた6個目のボールに手を掛けた。その顔はあくまでも笑っている。
……ゆけ、ゲン…ガ……


彼女の鋭い眼差しが眉間を貫き、キクノはへなへなと座り込んだ。まるで、糸が切れた操り人形のように。

老婦人が何者であったのか、それはどうでもいいことだった。彼女は部屋を後にした。

お小遣い865033円  ポケモン図鑑203匹(捕まえた数191匹)  バッジ8個  プレイ時間999:59



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#59
二の間は建物の西端、三の間は東端にあり、間の回廊は非常に長い。中間の広間で休憩にする。彼女とポケモンたちは軽い食事を取った。体調は皆問題ないようだ。
天窓からチャンピオンのいる中央の塔が見える。そこで待ち受ける者とは……


「よっ!トレーナー。いつやってくるのか、指折り数えて待っていたぜ」
「お前が3人目か……………………マッチ棒」
オーバだ!!忘れるなっ!男は間髪入れず突っ込んだ。髪は真っ赤なアフロ、服は黄色いポロシャツにダークグレーのカーゴパンツ、サスペンダーを腰から垂らしている ―― 四天王三の間、床は赤茶色だ。
「ナギサでのことはデンジの野郎から聞いたぜ。あいつの心に火を点けるとは、期待が高まって仕方ねぇ!」
「フッ、残念だったな。すぐに後悔することになる」
彼女は不敵に笑った。いつにもまして叩きのめす気満々だ。オーバはその恐ろしさを知らない。


オーバはギャロップLv.58を、彼女はレビアたんを繰り出した。初対面の雰囲気や出る言葉から、男が炎使いであることはわかっていた。
ギャロップは高く跳び、レビアたんの波乗りを易々とかわした。だが、トレーナーもポケモンも至って冷静だ。降りざまの蹴りを翼で受け止める。着地したギャロップは水流に足を取られ、そのまま押し流されていった。

オーバは自信たっぷりにヒコザルの最終進化形、火炎ポケモン・ゴウカザルLv.61を繰り出した。茶と白の毛並みに黄色の飾りが付き、頭頂部は真っ赤に燃え盛っている。彼女はフォウを出した。
ゴウカザルが雄叫びを上げ、全身を発火させた。凄まじいスピードで突進し、フォウを吹っ飛ばす。捨て身の大技、フレアドライブだ。炎に耐性があるもかかわらず、フォウのダメージは大きい。攻撃側も反動を受ける。
フォウは身を翻して四肢を突き、地震を起こした。強烈な衝撃波にゴウカザルが倒れた。
「火遊びは程々にしないとな」

ミミロルの進化形、ミミロップLv.57が出る。すらりとした体に垂れた大きな耳を持つ兎ポケモンだ。バッサの波導弾がミミロップを直撃する。光の膜が現れたがすぐに消え、ミミロップは気を失った。ミラーコートで弾き返そうとしたらしい。
巨大なハガネールLv.57に対し、アロスを出す。ハガネールは上空に小さな太陽を作り出した。炎を強め水を弱める技、日本晴れだ。催眠術で眠らせる。バッサに替え、波導弾で倒した。

オーバは残るフワライドLv.58を繰り出した。オリアを出す。
「君の勢い感じる。熱い気持ち、伝わってくる」
オリアがスパークを仕掛ける。フワライドは大ダメージを受け、更に麻痺を負った。
「この状況……燃える!燃えてきたッ!!」
オーバは拳を握り締め声を上げ、闘志を高ぶらせた。フワライドは影分身で回避率を高め、回復の薬で全快した。
……のも束の間、スパークを食らい、再び大ダメージと麻痺を負った。
「今、何かしたのか?」
彼女はいたって醒めていた。オリアは加速し、床を蹴って跳躍する。
「雷の牙だ」
「ギャルゥッ!」
全身の電流を牙に集中させ、噛み付くと同時に流し込む!フワライドは爆発を起こし、煙を噴きながら墜落した。


「……!!まさかまさかの敗北だ!見くびっていたわけじゃない!だけど、負けるとは微塵にも思ってなかった!凄い!君と君のポケモン、凄いぜ!!」
オーバは床に寝転び、大の字になった。自然と笑みがこぼれる。気持ちいいほどの負けっぷりだった。
……………………………………………………………………フゥ……燃え尽きちまったぜぃ」
「お前の実力が遠く及ばなかっただけのことだ。無様な負け方をしたからといって、自分を恥じる必要はないぞ」
名前……?
「……燃えカス!」
彼女は指を差し、無邪気に笑った。オーバは背を向け、膝を抱えた。
……………………………………………………………………次、行きなよ」
前向きでいたつもりが、いつの間にか失意のどん底に落ちていた。その頬を涙が伝う。
彼女は容赦しない。

次は4人目、四天王最後の1人だ。

お小遣い872353円  ポケモン図鑑203匹(捕まえた数191匹)  バッジ8個  プレイ時間999:59



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#60
四天王四の間に来た。床の石盤は紫がかった灰色をしている。彼女は迷うことなくボールを並び替え、バトルフィールドへ歩を進めた。ここに足を踏み入れた瞬間、かすかに漂う固有の気配に気づいたからだ。
対面の壁際には小さな机と椅子が置かれ、テーブルランプの下、男が本を読みふけっている。

「立て」
「これはいいタイミング。ちょうど本を読み終えたところでした」
ランプのスイッチを捻り、立ち上がる。机一式が壁に収納される。男が説明するところ、それぞれアンティークとして価値のあるものらしい。ウェーブのかかった髪は肩につく長さ、薄青色の眼鏡を掛け、暗赤色の細身のスーツを着ている。穏やかで理知的な雰囲気だ。
「では、自己紹介を。私はゴヨウ、使うのはエスパータイプ。それにしても、ここまで来るとは相当な実力の持ち主。四天王最強といわれる私も、全力で戦わせていただきましょう」


ゴヨウはバリヤードLv.59を、彼女はオリアを繰り出した。
オリアが走る。サイコキネシスを受けつつも跳び掛かり、噛み砕く攻撃でバリヤードを倒した。
「全力とやらは、いつ見られる?」
彼女の挑発に、ゴヨウはフッと笑った。冷静に次のボールを開く。

現れたのは、銅鐸ポケモン・ドータクンLv.63。青銅色をした円錐台形の体、その上部に2本の腕、下部に顔がある。これが男の主力の1体だ。彼女はアロスを出した。進化後と進化前の2体は無表情で対峙する。
ドータクンが体をコマのように回転させ、ジャイロボールでアロスを弾き飛ばした。ダメージは微々たるもの、アロスは転がりつつ方向転換し、間近から妖しい光を放つ。
混乱しながらもドータクンは瞑想し、特殊攻撃・特殊防御を高める。アロスは催眠術を使った。一度は外したが、ドータクンが自滅し、その隙を突いて術に掛けた。
フォウに替える。アロスと同様、地面技は効かない。フォウはドータクンに組み付き、鋭い牙を剥いた。
「噛み砕く攻撃」
ドータクンの防御は非常に高く、相当の攻撃力を持つフォウをもってしても、わずかな傷を付けるのがやっとだ。レベルの差も大きい。フォウは攻撃を繰り返し、体力をじわじわと削り取る。
ドータクンが目を覚ました。ゴヨウは回復の薬で全快させる。仕切り直しだ。ドータクンは地震を起こし、彼女はアロスに替えてそれをかわした。瞑想するドータクンに催眠術を掛け、再びフォウを出す。指示はただ一つ、噛み砕く攻撃だ。



彼女は腕を組み、フィールドをじっと睨んでいる。ゴヨウは眉間に手をやり、眼鏡を直した。戦闘開始からどれだけ時が経っただろうか。ドータクンとフォウの戦いにも終わりが見えてきた。
フォウの何十度目かの攻撃で追加効果が発動し、ドータクンの防御が低下した。好機とばかり、更なる攻撃を加える。
ドータクンは目を覚まし、威力を増したサイコキネシスでフォウを壁に叩き付けた。フォウは辛うじて立ち上がり、走った。
「噛み砕く攻撃!」
牙が食い込み、金属の体に亀裂が入る。ドータクンは倒れ、濁った音色を部屋中に響かせた。フォウは満足げにボールに戻っていった。

次はチャーレムLv.60、アスタを出す。アスタは炎のパンチを受け止め、シャドーボールでチャーレムを倒した。
キリンリキLv.59にレビアたんを出す。キリンリキは二連続で蹴るダブルアタック、サイコキネシスで攻撃したが、レビアたんはかすり傷程度だ。波乗りで押し流した。

ゴヨウは最後となるもう1体の主力、フーディンLv.60を繰り出した。彼女は三度アロスを出した。
「ふむう……さて、ここからどうしましょうか」
フーディンは緑の光球・エナジーボールを、アロスは妖しい光を放った。アロスのダメージは小さい。高速回転する体を壁でバウンドさせ、混乱するフーディンに四方からジャイロボールを仕掛ける。
追い込まれたフーディンは自己再生でHPを回復し、両手を突き上げて大きなオレンジの光球を作り出した。格闘の大技・気合玉だ。アロスめがけて投げ落とす!石盤が爆発したように砕け散り、床に大穴が開いた。

状況を察したゴヨウは目を閉じ、彼女は言った。
「止めだ」
床の穴からアロスが飛び出した。ジャイロボールでフーディンを弾き飛ばす!
光が体を包み、形を大きく変える。アロスはドータクンに進化した。ついに最終進化形6体が揃った。


「なるほど……今までの3人に勝ってきたその強さ、本物ですね」
ゴヨウは微笑した。彼女は既に最後の戦いに考えを廻らせていた。
「これであなたは四天王全員に勝ったわけですが、まだ終わりではありません。ポケモンリーグには、私たち四天王よりも遥かに強いチャンピオンがいます。さあ、扉をくぐり抜け、最後の戦いに挑みなさい」
「ああ」
「私は次の挑戦者が来るまで本を読んでいます。そうすれば心が落ち着き、どんなときでも慌てることなく対処できますからね」
チャンピオンの間へと続く最後の回廊を歩く。天窓から見える空は星空に変わっていた。4人目に時間を掛け過ぎた。

彼女はポケモンリーグを戦うことに何の不安もなかった。事実四天王4人を危なげなく倒している。それは当然の結果だった。
不確定要素があるとすればただ一つ、失われた記憶、だけだった。
最後の扉が見えた。わかる、その先にずっと探し求めてきたそれがある。ついにここまで来たのだ…………



頭上の天窓がまばゆく光った。圧力を感じるほどの白光に打たれ、彼女の意識は遠のいてゆく ―― すぐそこにあるはずの失われた記憶、自分の過去、それに向かって彼女は右手を伸ばした。
そのとき、手首のバングルが光を放った。「 C I F E R 」、その左側に新たな文字が浮かび上がっていく。
白光が弱まる。右手は虚しく空を切った。彼女は仰向き、静かに倒れた。

バングルは、鈍い灰色から澄んだ青色に変わっていた。
L U C I F E R 」、それが彼女の名前。

お小遣い879913円  ポケモン図鑑203匹(捕まえた数192匹)  バッジ8個  プレイ時間999:59

INDEX 目次前項57585960メモ次項