P‐LOG プラチナ編
#65 |
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ドーミラーを大切にしている少女がいた。
ある日のこと、少女のドーミラーは湖に落ち、奥底へと沈んでしまった。
悲しむ少女の前に湖の精が現れ、3匹のドーミラーを見せて尋ねた。
お前が落としたのは金のドーミラーか?銀のドーミラーか?それとも鋼のドーミラーか?
少女は答えた。私が落としたのは鋼のドーミラーです。
正直者の少女よ、お前に3匹のドーミラーをやろう。
少女は3匹のドーミラーと仲良く暮らした。
ベッドに腰掛ける彼女は本を閉じた。気まぐれに図書館で借りてはみたが、物語の意図するところがわからない。まず、その結末はなんなのだ?これだから昔話の類は信用ならない。
「ギュア!」「ギュアッ!」
大柄なエンペルトが2匹、部屋の中をうろうろと歩き回っている。
「黙れ」
殺気のこもった一喝に、2匹のレビアたん(エンペルト)は震え上がり、自ら机の上のモンスターボールに戻っていった。
「……3匹にならなかっただけ良しとするか」
バッグを肩に掛け、階段を下りる。母親はお茶を入れた。
「シィ!さっき、ジュンくんがあなたを呼びに来たわよ」
「それで何と?」
「なんだかよくわからないけど、キッサキシティから船に乗れ!ですって!あの子せっかちでしょ、話を聞く前に行っちゃったの」
立ったまま羊羹を口に運び、緑茶を飲む。
「で、どうなの?ナナカマド博士のお手伝いは順調なのかしら?」
「ああ。ちょっと出かけてくる」
自転車を走らせ、マサゴタウンに向かう。まずはポケモンセンターだ。
ポケモン研究所の前に、こちらに手を振る少年がいる。コウキだ。彼女は自転車を止めた。
「シィ!ちょっとポケモン図鑑見せてよ!」
「ほら」
「…………凄い!!シンオウの全部のポケモン見たんだ!ナナカマド博士にポケモン図鑑見せてあげようよ!」
中に入る。助手たちは今日も忙しそうに動いている。ナナカマド博士が彼女に気付いた。
「おお、シィ!ポケモン図鑑の様子を見せに来たんだな!」
「そのつもりはない」
「どうした?まさか、私に見せられるほどポケモンを見つけていないのか」
「……フン」
図鑑を突きつける。ナナカマドはそれを取り、開いた。ディスプレイにポケモンのデータが次々と表示される。
「ふむう……見つけたポケモンの数は210か……見事だ!シィ!シンオウ地方のポケモンが図鑑に記録された!これで私のポケモン進化の研究もいっそうはかどる……」
そのとき扉が開き、旅行鞄を携えた白衣の男が入ってきた。髪は白髪、歳はナナカマドよりやや若いくらいだろうか。
「やあ、ナナカマド博士。お久しぶりですな!ふう、それにしても、カントーからシンオウは遠い。だけど、新しいポケモンに出会えるならどこへでも、ですな」
「おおッ、オーキド君ではないか!さすがポケモン研究の世界的権威、ポケモンいるところオーキドあり、というのは昔から変わっていないな!」
2人は旧知の間柄らしい。ナナカマドは思い出したように言った。
「そうだ、オーキド君。私の隣にいる若者が、シンオウ図鑑のページを埋めてくれたのだよ!」
図鑑をオーキドに渡す。オーキドは彼女を見て微笑んだ。
「どーも初めまして。わしがオーキドじゃよ!ナナカマド博士から君の名前は伺っていたよ。なんでも、若いが素晴らしいトレーナーがいると。その話どおり……いや、話以上じゃな!そして実にグッドタイミング!」
「あ?」
オーキドは鞄をかき回し、小さなケースを取り出した。中身はメモリーカードだ。
「こっちに来る用事があって、ナナカマド博士のためにも全国図鑑のデータを持ってきたところだったのです。そうじゃ!君のポケモン図鑑も全国図鑑にパワーアップしよう。世界にはまだまだ数多くのポケモンがいるからな!」
図鑑のカードを差し替え、彼女に手渡す。
「全国図鑑の完成は大変だと思うが、ぜひ頑張ってほしいものじゃ!」
「別にあたしは」
「なに、シィなら大丈夫だ」
ナナカマドが言葉をかぶせた。
「ところでオーキド君、こっちに来た用事というのは?」
「そうでした。パルパークができたのです。確か221番道路でしたかな、あそこには様々な地方のありとあらゆるポケモンが集まるシステムがありましてな、それがうまくいくか見届けに来たのです。シィさん!よければ、君もパルパークに来るといいぞ!」
彼女は退屈そうだ。オーキドはふと腕時計を見た。
「おっと、いかん!これでは約束の時間に遅れてしまう。ではお二人、失礼させていただきますぞ!」
オーキドは鞄の蓋を閉め、いそいそと出て行った。
「相変わらず忙しい男だ。さて、シィ!シンオウ図鑑を全て埋めてくれたことに感謝して、私からのプレゼントだ!」
ナナカマドは彼女に、手のひらに乗るほどの白い機械を渡した。
「そのポケモントレーサー、縮めてポケトレを使うと、ポケモンが潜んでいる草むらがたちまちわかる!本当はシンオウ図鑑のため頑張るお前たちに用意したものだが、まあいい、全国図鑑のためにも役立つだろう!」
いつものことだが、人の意向を気にする様子は全くない。勝手なものだ。
「世界は広い!ポケモンはまだまだたくさんいる。お前の行く手には、まだ素晴らしいドキドキが待っているということだ!」
彼女はポケモンセンターに入った。研究所は予定外だったが、道具が便利になるのは良いことだ。パソコンに向かい、預かりシステムを呼び出す。秘伝技を担うハル(ムクホーク)とボット(ハガネール)を手持ちに加えた。黒いマントをまとう。
彼女を掴んだハルは大きな灰色の羽を羽ばたかせ、ゆっくりと舞い上がった。
そう、本来の目的は ――
お小遣い934464円 ポケモン図鑑238匹(捕まえた数181匹) プレイ時間363:47
#66 |
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「送りの泉、か」
鎌首をもたげ、山頂からカルデラを見下ろす。周囲を崖で囲まれた丸い湖は、深い青の湖水をたたえている。
ギンガ団ボス・アカギにより槍の柱に生じた歪みは、時空の壁に穴を開けた。世界の崩壊を止めるため、シロナと共に破れた世界に飛び込み、そして帰り着いた場所 ―― それがここだった。
縁を回って崖を下り、ボットをボールに戻す。岸に開いた横穴に足を踏み入れる。足元を霧が流れている。タウンマップの「戻りの洞窟」という表示はすぐに見えなくなった。
一面の濃霧で視界が利かない。ハルを出し、霧払いを使う。霧は凝結し、雨粒となって落ちた。ボールに戻す。
そこは正方形の広い部屋だった。内部はズイの遺跡同様の緻密な石積みで覆われている。中央には壇があり、その壁面には古代文明の文字が刻まれている。彼女はそれを読んだ。
「……3ほんのはしらをぬけて……まどろむ……のもとへ…………が30をこえるまえに……」
損傷があり、読めない箇所がある。何が「30を超える前に」なのだろう?要するに、「3本の柱」を見つければいいらしい。手間を掛けさせることだ。
部屋をぐるりと歩く。一段高い四辺それぞれに出口がある。どれを選ぶべきか、手掛かりらしきものは見当たらない。彼女は階段を上り、その一つに入った。
何もない、ただの部屋だ。ゴースやゴルバットといった野生ポケモンがいる。また、同じように四辺に出口がある。
ひたすら進んだが、柱は一向に見つからない。壁の文字を読む。
「……3ほんのはしらをぬけて……まどろむ…………これは!?」
彼女はハッと気付き、辺りを見回した。いつの間にか、最初の部屋に戻ってしまっていたのだ。このような運任せの方法では埒が明かない。
感覚を研ぎ澄ませる。無数の小さな波導、ここに生息する野生ポケモンたちのものだ。その向こうに、飛び抜けて大きい波導を感じる。導かれるまま、一直線に進む。
部屋の中央に太い円柱が立っている。これがそうだ。基部には2つの数字が上下に並んでいる。
「1、5」
「2、6」
「3、9」
これで3本目。上は見つけた柱の数、下は通過した部屋の数だった。「30を超える前に」というのは、部屋の数だったのだろう。
最後の部屋に着いた。野性ポケモンの声は聞こえない。不気味なまでに静かだ ――
彼女は中央へと進んだ。巨大な黒い影がそびえている。
「目覚めよ」
2つの眼が青く輝く。それは体を包む漆黒の翼をゆっくりと広げた。
「……ビシャーンッ!!」
咆哮と共に強大なプレッシャーが放たれる。薄黄色の肌をした六本脚の竜、銀色の外骨格は白骨の死神を思わせる。破れた世界から解き放たれたギラティナは、ここで彼女を待っていた。気圧されることなく眼差しを合わせる。
「倒すべき敵がいる。再び、あたしと共に戦ってほしい」
ギラティナは首を垂れ、かしずく。彼女は紫のボールを向けた。マスターボールだ。
「戻れ、ベルゼビュート」
巨体は光となり、ボールへと吸い込まれた。最強のドラゴンは、今彼女の手に返ったのだ。
壁を見上げる。
「ここは……いのちかがやくもの、いのちうしなったもの、ふたつのせかいがまじるばしょ、か……シロナが喜びそうな文句だ」
彼女はボールに向かって問いかけた。
「ベルゼビュートよ。教えてくれ、お前が戦ったのは誰だ?」
遥か昔、星を揺るがした侵略者との戦い。あのとき、男が出したディアルガとパルキアに戦った形跡は見られなかった。考えるに、いち早くそこに駆けつけたベルゼビュートは別のポケモンと戦い、相打ちとなったのだ。普通種ではありえない。同等の力を持つ希少種だ。
目を閉じ、記憶を読み取る。そのポケモンとは ――
まぶしい光が見える。姿は、はっきりとしない。
「……フン」
彼女はボールをしまい、踵を返した。眼光は鋭い。
「見つけ出すさ、必ずな」
新たな戦いが始まる。
お小遣い901567円 ポケモン図鑑241匹(捕まえた数190匹) プレイ時間427:45
#67 |
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ハクタイマンション1階・姓名判断 ―― 作務衣の男は彼女に尋ねた。座卓の上にはマスターボールが置かれている。
「名はベルゼビュートというのだが、登録上5文字内に収めたい。『ベルゼ』、それとも『ビュート』がいいだろうか」
男は微笑み、筆を取った。半紙にさらさらとしたためる。
「よし、これからこのポケモンは『ベルりん』だ!」
「いい加減にしろ!貴様、このあたしを誰だと思っている!?」
「ビシャアアアアアアン!!」
衝撃で建物が揺れる。広くない室内は、たちまちベルゼビュートの巨体で埋め尽くされた。
「勝手に出るなっ!!」
彼女は下敷きになりつつも叫んだ。男は壁に押し付けられている。パソコンのディスプレイには「登録完了」の文字があった。
ポケモンセンターで休む。さて、これからどこに向かうかだ。ポケモンリーグを目指していたときは、道なりにジムを回ればよかったが、今回は違う。
壁に貼られた地図に目をやる。東側は火山島が未踏、ポケモンリーグのある島はほとんどがまだだ。西側にも小島がいくつかある。既に行った場所も、より詳しく調べる必要があるだろう。
……その前に、本を返してこなくては。
夕日がミオシティをオレンジに染める。彼女は図書館に入り、カウンタで返却手続きを済ませた。
赤いスーツの男が書架に向かい、本を読んでいる。横から声をかける。
「四天王、ゴヨウか」
「おや……あなたも読書ですか」
ゴヨウは彼女をちらりと見、すぐに視線を戻した。
「本はいいものです。本に書かれた人の思いは時間も空間も飛び越える。今読んでいたのは、人類を文化的に、社会的に研究した人が書き記した本です」
ページをめくる。
「次のようなことが書かれています。世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。ポケモンと暮らすこの世界は、誰のためにあるのでしょうね」
「……ん?独り言は済んだか?」
ゴヨウは愕然とした。
「急用ができた。失礼する」
彼女は何かを感じ、図書館を飛び出した。
「船乗りナミキの家」
運河のほとりに建つ船員の家だ。母親は息子の具合が悪いと言う。ベッドに臥せる少年はうなされ、何か口走った。
「だー……だーく……がこっちを見て……」
「まさか、うちの子が悪夢のとりこになるだなんて」
「悪夢?」
「ミオにはね……昔っから悪夢にはまり込んで……目を覚まさなくなるって事件があったんだよ……満月島で見つかる三日月の羽根があれば目を覚ますらしいって聞いて、旦那が満月島まで船で行ったけど、なんにも見つからなくてさ……」
母親は少年の額の汗を拭った。
「トレーナーじゃないと駄目なのかね。こういうのって悔しいよね」
「……わかった。あたしに任せてくれ」
船着場へ。連絡船の前で船員の男が頭を抱え、座り込んでいる。
「ナミキというのか。事情は聞いている」
「あんたが……満月島に行ってくれるのか?」
「ああ」
「ありがとうな!俺の息子を悪夢から目覚めさせるには、満月島で手に入る三日月の羽根が必要なんだ!だけど、俺が行ってもなんにも見つからなくてよ……じゃ、行くぜ!」
ナミキが操る連絡船は海上を疾走する。エンジンは焼き付く寸前だ。島が近づき、座席の彼女は目を開けた。
日は既に落ちている。船を降り、タウンマップを確認する。「満月島」、森に覆われた小さな島だ。うねる小道を奥へと進む。
森が開けた。三日月形をした水溜りの中央に、ぼんやりと光るポケモンが浮いている。三日月に似た黄色い頭部に流線形の青い胴体、美しい弧を描く薄紅色の羽は天女の羽衣のようだ。彼女はポケモンに歩み寄り、言った。
「クレセリア、お前のコレクションを少し分けてもらいたい」
「キュイイン!」
クレセリアは甲高く鳴き、光の粒子を散らしながら飛び立った。その跡には、燐光を帯びた何枚かの羽根が落ちていた。1枚手に取る。クレセリアが集めた水鳥ポケモンの羽根が波導を浴び、その力を宿したものだ。
船に戻る。ナミキは呆けた様子で言った。
「今あんたが出会ったのは三日月のポケモン……シンオウ各地を飛び回る……そんな話を聞いたことがある」
彼女は目の前で羽根をちらつかせた。
「おお!そのきらめき……それが三日月の羽根か!よかった……息子も悪夢から覚める……」
「行こう」
並外れた高い能力を持ち、個体数の極めて少ない種族「希少種」 ―― エスパータイプのクレセリアでは、ゴースト・ドラゴンタイプのギラティナに相対しえない。悪夢を見せる力を持つ、悪タイプのダークライこそが仇敵である可能性があるのだ。
連絡船はミオへと急ぐ。夜空を一筋の光が走っていった。
お小遣い898759円 ポケモン図鑑242匹(捕まえた数190匹) プレイ時間433:36
#68 |
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「その三日月の羽根……俺の息子に……頼むよ!」
母親は少年の手を握っている。彼女は三日月の羽根を取り出し、苦しむ少年の顔に近づけた。羽根が光の粒子を散らす。程なくその顔は安らかに変わり、ゆっくりと目を開けた。
玄関の開く音がし、ナミキが入ってきた。勤務中のはずだが、いても立ってもいられなかったようだ。
「おお!起きたか!よかった……本当によかったぞ……本当にありがとうな!あんたのこと、一生忘れない」
「あんたッ、本当にありがとうね!」
彼女は照れくさそうに笑った。
「お前の元気な顔見たら、俺も元気が出てきた!船乗りの血が騒ぐ!お前ら、後で乗りに来いよ!!」
ナミキは足取りも軽く、船に戻っていった。
「なんか見てた……こわいゆめ……まっくらな場所で、まっくろのポケモンがいるゆめ……だけど……とうちゃんとかあちゃんの声は聞こえていたよ……」
「そうか。これはお守りだ」
三日月の羽根を手渡す。少年は目を輝かせた。
翌日。少年の夢から追い出された今、ダークライは次の標的を探している。ミオシティでは昔から悪夢のとりこになる事件が起きているという。この町には、ダークライの力が強く及ぶ特異点のような場所があるはずだ。それを探す。
町中を歩いて回る。それらしい場所は見当たらない。近くの食堂からいい匂いがしてきた。ちょうど昼時だ。
「あんかけ焼きそばを頼む」
デザートも必要だろう。団子屋がある。
「黒あん・白あん・抹茶あんを1本ずつだ」
「ここは波止場の宿 船乗りたちの止まり木 ふかふかベッドで楽しい夢を!」
石造りの建物は妙に古び、周囲から浮いた感じがする。最後に残ったのがここだ。間違いない。
ドアノッカーを鳴らす……しかし反応はない。もう一度鳴らそうと手を伸ばしたとき、扉がギィーという音を立てて開いた。
「……いらっしゃいませ」
陰鬱とした雰囲気の男が立っている。
「…………………………ひひひ。ずっとお待ちしておりました」
後について階段を登る。男が客室の扉を開け、彼女は中に入った。カーテンが引かれ、ベッドが仕立てられている。
「妙な気を起こすなよ。眠っていても、お前をブッ飛ばすことくらい訳はない」
ベッドに横たわる。悪夢への誘い、それをあえて受けようというのだ。男は一礼し、扉を閉めた。胃袋は満タン、まぶたは重い。置時計の秒針のカチカチという音と共に、強い眠気が襲ってくる。彼女は目を閉じた。
目を開ける。昼間のはずだが、薄暮程度の明るさしかない。彼女は小島の岬に立っていた。タウンマップには「新月島」とある。船が泊まっているが、そこに人の気配はない。ここから出るには島の主に会うしかないということだ。奥へと進む。
森が開け、丸い形をした水溜りが現れた。中央に人型のポケモンが立っている。髪は白く炎のように逆立ち、体は黒く闇に溶け込む。ダークライだ。彼女はマスターボールを出した。
「ベ……ベルりん。お前が戦ったのは、このポケモンか?」
違うようだ。ボールが火照ったような気はしたが。
「……だが、奴は他者に害をなしたのだ。一度仕置かねばな……なあ!」
声が虚空に響く。ダークライは宙に浮き、脚を引き込む。そして大きな青色の眼を見開いた。
「………………………………」
「行け、レビアたん」
「ギュアッ!」
レビアたんを出す。ダークライはスピードで撹乱し、すれ違いざまに騙まし討ちを仕掛けた。レビアたんは攻撃を耐え、剣の舞を舞う。
ダークライが眼前に現われ、催眠術をかける。レビアたんは持っていたカゴの実により、すぐさま目を覚ました。
彼女はフッと笑った。ダークライの特性はナイトメア、眠り状態にある者の体力を奪う。催眠術を使ってくることは予想していた。
「鋼の翼」
鋼の大剣が切り裂き、ダークライはよろめいた。
「アクアジェット」
レビアたんは青い弾丸となって突っ込む。ダークライは弾き飛び、木の陰へと消えていった。レビアたんをボールに戻す。
「悪夢を見たのは、お前のほうだったようだな」
彼女は目を閉じた。どこからか声が聞こえてくる。
「ダークライ……君の力は強い。君が望まなくても、周りの人にポケモンに、恐ろしい夢を見せてしまう。だからここに来た……新月島……ここには君以外誰もいない。恐ろしい夢を見る者はいない。見たとしても、すぐそばに満月島がある……」
「………………………………」
目を開ける。ベッドの上だ。置時計が止まっている。彼女は宿を後にした。
次はどこへ行こうか。
思い出した。ジュンからの伝言 ―― 「キッサキシティから船に乗れ」とのことだった。調べたところ、キッサキ発の連絡船の行先は例の火山島になっている。
また、長い旅になりそうだ。
お小遣い905012円 ポケモン図鑑243匹(捕まえた数192匹) プレイ時間437:32