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P‐LOG エメラルド編

#89
「これは…?」
ポケモンリーグ第二の部屋です。照明が薄暗く、床が黒っぽいこと以外、基本的なつくりは前と同じようですが、部屋全体を不気味な気が満たしているような感じがします。
この感じはゴーストポケモンか…
モンスターボールの並びを入れ替えます。

突然、バトルフィールドにゆらりと人影が現れました。少女です。日に焼けた肌に青いビキニとパレオだけをまとい、くせのある短めの髪には大きな赤い花飾りを挿しています。ゴーストタイプの使い手としては、あまりらしくない格好のようにも思えます。思わず言葉が口をついて出ました。
「あなたが四天王の2人目…?」
「アハハ!」
彼女は甲高い声で無邪気に笑いました。
「アタシ、四天王のフヨウ。送り火山で修行するうちに、ゴーストタイプのポケモンと気持ちを通わせることができるようになったの。そう、アタシとポケモンの絆、とっても強いんだ!そんなアタシのポケモンたちにダメージを与えることができるか、試してごらんよ!」
「…そうね。じゃあ、思う存分やらせてもらうわ!」

彼女は勢いよくモンスターボールを投げました。中から現れたのはサマヨールLv.48です。それに対し、ワタシはブラースト(アブソル♂)を繰り出しました。
相性的にはこちらのほうが圧倒的に有利です。ブラーストがシャドーボールを放つと、サマヨールは守るで攻撃を防ぎました。それならばと剣の舞で攻撃力を上げると、相手は怪しい光を使い、ブラーストを混乱させてきました。あわてて黄色ビードロで混乱を解きます。
そのときです。サマヨールは自らHPを削り、それと引き換えにブラーストに呪いをかけました。ワタシはあせってシャドーボールを指示しましたが、再び守るで防がれました。苦しむブラーストから急速にHPが失われていきます。何とか3発目でサマヨールを倒し、ブラーストを戻してピカ(ピカチュウ♂)をフィールドに送りました。
フヨウの2匹目はジュペッタLv.49です。ピカの10万ボルトは、ジュペッタをあと一歩のところにまで追い詰めました。しかし、逆に強力なシャドーボールの直撃をくらって吹っ飛ばされ、ピカは気を失いました。ワタシはピカをボールに戻し、そっとほほを寄せました。
「ゴメン、ピカ…ワタシのせいだ……」
ダメだ、完全に相手のペースに乗せられてる……油断してた、相手は四天王なんだ…!

ワタシはアグル(ヌマクロー♂)を繰り出しました。相手が悠々と回復している隙にマッドショットを浴びせ、素早さを下げます。マッドショットとシャドーボールの激しい撃ち合いのすえ、防御に勝るアグルが打ち勝ちました。
3匹目のヤミラミLv.50をランス(ジュカイン♂)のリーフブレードで倒すと、フヨウはサマヨールLv.51を繰り出しました。テンペスト(アブソル♀)は剣の舞を舞い、地震を耐えしのぎます。シャドーボールが体を貫き、サマヨールは倒れました。
彼女は最後のポケモン・ジュペッタLv.49を、ワタシはキラリン(アチャモ♂)を繰り出しました。
ジュペッタのシャドーボールがキラリンを襲います。キラリンはそれをぎりぎりで持ちこたえ、大文字を放ちました。炎は特性の猛火でさらに勢いを増しています。ジュペッタは壁に叩きつけられ、ぼとりと床に落ちました。キラリンはLv.46になりました。

「あーあ、負けちゃった」
彼女は残念そうに笑いました。賞金として10200円を受け取ります。
「あなたとポケモンとのあいだにも、確かな絆があったのね。それがわからなかったアタシが負けたのは当然。ウン、あなたたちの絆がどこまで通じるか、見てみたいな。次の部屋に進みなよ」
ワタシたちの絆…
元気のかけらを飲み込んだピカは意識を取り戻し、元気に鳴き声をあげました。他のみんなも回復させます。
「フヨウ、ありがとう。いろいろ大切なことを思い出させてくれて…」

振り返ると、もうそこに彼女の姿はありませんでした。

おこづかい726677円  プレイ時間118:52  ポケモン図鑑105匹  バッジ8個
ゲットしたポケモン/なし



#90
第三の部屋の扉が開くと、ひんやりとした空気が流れ出してきました。床には白い石盤が敷かれています。
わかりやすいなぁ。水タイプ、あるいは氷タイプか…
広々とした室内を見回していると、ある1点で目がとまりました。洒落た白いテーブルの上には高級そうな白磁のティーセットが並び、ブロンドの女性が優雅に本を読んでいます。彼女はワタシのことを気にかける様子もなく、ページを送りました。

「あのぅ…ちょっといいですか?」
こちらをちらりと見た彼女は本を置き、ゆっくりと席を立ちました。フリルのついた白いブラウスに、丈の長い紫のワンピースを着ています。バトルフィールドのトレーナーポジションにつくと、スカートをつまんで軽く会釈しました。
「ようこそ、四天王のプリムといいます」
「ワ、ワタシの名前はハカセといいます!どうもご丁寧に…」
「氷の技を極めたくて、はるかホウエンまでやってきました。ですが、ここに挑戦に来るのは、やわなトレーナーとポケモンばかり…」
ため息をつき、モンスターボールを取り出します。
「…あなたはどう?本気を出しても大丈夫だと嬉しいのですが…!!」
ボールからトドグラーLv.50が現れました。ワタシはピカを出し、10万ボルトを浴びせます。トドグラーは戦闘不能になりました。
「…よろしくお願いします!」

彼女は眉ひとつ動かさず、2匹目のポケモンを繰り出しました。オニゴーリLv.50です。キラリンは噛み砕く攻撃を受けながらも、離れ際の大文字で一気にオニゴーリを倒しました。
3匹目はトドゼルガLv.53です。ワタシはブラーストを繰り出しました。このレベル差では一撃にかけるしかありません。ブラーストが剣の舞を舞うと、トドゼルガは強烈な冷凍ビームを放ち、フィールドが白いモヤに包まれました。
「…ブラースト!今よ、破壊光線!!」
ブラースト渾身の破壊光線はモヤを吹き飛ばし、トドゼルガを直撃しました。トドゼルガは一度は体を起こそうとしたものの、そのまま倒れ伏しました。フィールドに重々しい音が響き渡ります。
4匹目のトドグラーLv.52はランスのリーフブレードが急所に当たり一撃、最後のオニゴーリLv.52にはテンペストを出し、剣の舞からの破壊光線で葬りました。アブソル姉弟はともにLv.46になりました。

「ありがとうございました!」
プリムさんの顔がふっとほころびました。
「あなたとポケモンの魂の熱さ!それは何よりも熱く、わたくしの氷の技が通じるものではなかったのですね」
賞金として10600円を受け取ります。第四の部屋へと通じる扉が開き、彼女は表情を引き締めて言いました。
「次に進みなさい。そこでポケモンリーグの本当の恐ろしさ、確かめなさい」
「本当の、恐ろしさ……」

今回はそれほど危なげなく勝つことができました。でも、それが逆に不安感をあおります。次の部屋には、いったい何が待ち受けているというのでしょうか?

おこづかい737277円  プレイ時間119:05  ポケモン図鑑105匹  バッジ8個
ゲットしたポケモン/なし



#91
第四の部屋です。赤い石盤が敷かれたバトルフィールドには、壮年の男が立っていました。その男は裾がボロボロになった黒いロングコートを素肌に着、つばに裂け目の入った白い船長帽をかぶっています。腕を組み、ひげを蓄えた口元は固く結ばれ、その風貌は幾度もの戦いをくぐり向けてきたらしい強い意志を感じさせます。緊張感が張りつめる中、先に口を開いたのは男のほうでした。

「わしがポケモンリーグ四天王最後の1人、ドラゴン使いのゲンジ!」
「ドラゴン…使い」
「ポケモンは元々、自由気ままな野生の生き物。時として人を困らせ、時として人を助ける。そんなポケモンと一緒に戦うのに何が必要か、お前、わかっているのか?わかっていなければ、このわしに勝つことなど出来まい!」
深くかぶった帽子のつばから鋭い眼光がのぞきました。腕組みを解き、ボールを投げます。

彼の1匹目はコモルーLv.52、こちらはキラリンです。相手は相性の悪いドラゴンタイプ、炎技の威力を補うために日本晴れを使います。コモルーの捨て身タックルでキラリンのHPが残りわずかになり、反撃の大文字はコモルーをあと一歩のところまで追い詰めました。決死の電光石火は惜しくも相手を倒すには至らず、キラリンは捨て身タックルの前に倒れました。ピカを出し、10万ボルトでコモルーを倒します。ピカはLv.46になりました。
続いてはフライゴンLv.53VSブラースト、チルタリスLv.54VSテンペストです。いずれも剣の舞を舞い、相手の攻撃をギリギリで耐えしのぎ、破壊光線で撃ち落しました。
4匹目のキングドラLv.53に対し、ワタシはランスを出しました。切れ味鋭いランスのリーフブレードが連続して急所をとらえ、キングドラは反撃すらできずに倒れました。ランスはLv.46になりました。

コモルー、フライゴン、チルタリス、キングドラ…どれも強力なポケモンばかりだ。でも、ゲンジさんはまだ、ホウエン最強級のドラゴンを出してはいない……
彼が高く投げ上げたモンスターボールから、斧のような翼を持つ竜が現れました。
そう…ボーマンダを!
「ピカ、10万ボル…!!」
ワタシがピカを出し、技の指示を言い終わるが早く、ボーマンダLv.55は一瞬でピカの眼前に移動しました。強烈な火炎放射の前に、ピカはひとたまりもありませんでした。ピカをボールに戻します。

「頼むわ、アグル!」
スピードでかなわないのなら、攻撃を受け止めるしかない……すでにキラリンとピカが戦闘不能、テンペストとブラーストは立っているのがやっと、ランスは体力は満タンだけど相性が悪すぎる……このときのために温存しておいたけど、果たしてあの攻撃を耐えられるかどうか…
…ううん、彼ならきっとやってくれる!
ドラゴンクローでアグルのHPが残り1/3、冷凍ビームでボーマンダのHPが半分になりました。傷薬と守るでボーマンダの猛攻をしのぎつつ、反撃のチャンスをうかがいます。攻撃のパターンを見極め、ワタシはイチかバチかの賭けに出ました。
「アグル、冷凍ビームよ!」
噛み砕く攻撃でHPを減らしていたアグルは、すれ違いざまに鋭い爪をくらい、弾き飛ばされました。うつ伏せに倒れたまま、動こうとしません。
「立って……立ち上がって、アグルーッ!!」
ワタシの声に、アグルは目を開けました。HPは残り4、ボーマンダの攻撃がわずかに浅かったのです。やや重心を落とし、慎重に狙いを定めます。
「ゴロ―――ッ!!」
ビームが一直線に伸び、方向転換のために壁際で減速したボーマンダを確実にとらえました。ボーマンダはHPを完全に失って墜落し、地面に叩きつけられました。アグルはLv.46になり、マッドショットのかわりに地震を覚えました。

「見事!と言うべきだな!」
賞金として11000円を受け取ります。ゲンジさんは帽子を直し、再び腕を組みました。
アグルの体が光を放ち始めました。進化の時が来たのです。光の塊は2倍以上にも膨れ上がり、はじけ散りました。たくましい四肢を持った青いポケモン、ラグラージです。
「アグル、進化おめでとう!みんなもよくがんばったね!」

最後の部屋へと続く扉が開き、その重々しい音はワタシを一気に現実に引き戻しました。
「さすがはここまでやってきたポケモントレーナー。必要なもの、わかっているようだな」
「必要なもの…?」
「そう!必要なのは正しい心!ポケモンはトレーナーの正しい心に触れて物事の善悪を判断し、正しい心に触れて強くなる!さあ、次に進め!チャンピオンが待っておるぞ!!」
「はい!」

ゲンジさんが出て行き、部屋にいるのはワタシたちだけになりました。キラリンとピカに元気のかけらとおいしい水を与え、他のみんなも十分に回復させました。最後の戦いに備え、PPと持ち物も忘れずにチェックしておきます。
「これでよし…と!」

「チャモチャ!」
「キラリン……」

おこづかい748277円  プレイ時間119:29  ポケモン図鑑106匹  バッジ8個
ゲットしたポケモン/ラグラージ(ヌマクローより進化)



#92
ついにこのときが来ました。全長100mはあろうかという一直線に続く長い階段を、一歩、また一歩と昇っていきます。それは実際の距離以上に長いものに感じられました。ワタシもポケモンたちも、みんなこれまでのバトルで疲れはありますが、前に進む気持ちに変わりはありません。今までの旅でつちかってきたもの、そのすべてが試されるときです。

階段を昇りきった先には、最後の扉がありました。深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、気合を入れます。
扉が開き、正八角形をした淡いブルーのバトルフィールドが目の前に現れました。その周囲は澄んだ水をたたえた堀になっています。水の色は濃く、とてつもなく深いということしかわかりません。橋を渡り、トレーナーポジションにつくと、手すりが飛び出し、足元が四段階にせり上がりました。指揮台というわけです。
対面には若い男が立っていました。白いベレーをかぶり、チャンピオンの証であるマントをその身にまとっています。

「ようこそ、ハカセちゃん」

手すりにあいたスリットから空中に映像が投影され、音声が流れました。
「やはり、あなたでしたか……ミクリさん。目覚めのほこらではじめて会ったときの、持って回った言い方…あえて手持ちを明かさなかったこと……ずっとそんな気がしていました」
彼はやれやれといった感じで肩をすくめ、続けました。
「ルネシティで起こった大事件を、君が一人で解決したのはなかなか見事だったよ……おっと!君一人の力で解決したわけではなかったな。君と…君のポケモンが力を合わせたからこそ、困難を乗り越えられたんだ」
「ええ」
「私たちトレーナーはいろんな道具を与えたり、いろんな技を教えたりして、ポケモンを育てている……けれど、私たち自身も、ポケモンからたくさんのことを教えられているのさ。そして、ここは…その成果をぶつけあう場所」
「さあ!ホウエンで一番華麗にポケモンと踊れるのは誰なのか!いま、ここで見せてもらおう!」
「はい!」

彼はポーズを決め、アンダースローでボールを投げました。それが開くと、なぜかあたりが急に暗くなりました。不思議に思って上を見上げると、巨大な影が頭上を覆っていることに気づきました。世界最大のポケモン・ホエルオーLv.57です。地鳴りのような鳴き声に、建物全体が震えました。
大きい…しかも、通常のものよりもさらに巨大…!
「ワタシの1匹目はこのコよ!いけぇっ、ピカッ!」「ピッカ!」
「10万ボルト!!」
「ピーカーヂュウウウゥゥ――――――!!」
強烈な電撃が巨体を貫き、気絶したホエルオーは地上に落ちてきました。ピカは下敷きにならないように、あわててそれをよけました。2匹目のギャラドスLv.56も、10万ボルト一撃で撃ち落しました。

3匹目はナマズンLv.56です。ワタシはランスを繰り出しました。ランスは全速力で相手の懐に飛び込んでいきます。
「ランス、リーフ・ブレードォッ!!」
「ジュッ!」
腕を交差させ、刃を一閃しました。斬られたことに気づいたのも時すでに遅く、ナマズンは倒れました。
そのとき、図鑑のアラームが鳴りました。
…よし!

ミクリさんは前髪をさらりと払い、自信たっぷりに4個目のボールを投げました。光がほとばしり、蛇のように長い体をかたち作りました。その全身を覆う細やかな鱗は虹色に輝いています。ミロカロス、レベルは58です。
……きれい……この気高さ、たとえていうなら「水神」…そして、その力の源となる水の供給は、ほぼ無尽蔵!
石盤の隙間から、水が染み出してきています。ワタシはフィールドにテンペストを送り出しました。
「剣の舞!」
テンペストはかろやかに剣の舞を舞い、攻撃力を高めます。ミロカロスは体をしなやかに動かし、扇のような尾を優雅にひと振りしました。巻き起こった激流は牙をむき、テンペストを飲み込みました。波しぶきが舞い、次第に水が引いていきます。


HPは残り3、テンペストは姿勢を低くし、攻撃をしのぎきっていました。それを目にした彼は驚愕の表情を浮かべました。
「…テンペスト、破壊光線!!」
「カアアアァァ―――――――!!」
エネルギーが一点に集束し、空気が揺らめきます。目もくらむ白光が放たれ、ワタシは顔を覆いました。
ドウッという音が響き、静寂が戻りました。目を開けると、フィールドに横たわり、微動だにしないミロカロスが、そして呆然と立ち尽くすミクリさんの姿が目に入りました。青ざめた彼の唇は「ば・か・な」と読めました。
「…アブソルは防御面が低いから、一撃で倒すことくらいわけもない…それに、いくら剣の舞を舞ったとはいっても、ミロカロスが一撃で倒されることはありえない、と……そう考えていたんですね」
彼は眉間にしわを寄せ、ちらりとこちらを見ました。
「ミクリさん…実は、ワタシはこのバトルが始まる前に、あらかじめテンペストに学習装置を持たせておいたんです。ピカとランスの分の経験値を1匹に集中させ、場に出す直前には、テンペストのレベルは46から47に上がっていました。これで10以上のレベル差を埋めることができたんです……成功する確率はフィフティ・フィフティでしたけどね」

5匹目はドククラゲLv.55、対するはアグルです。ドククラゲのハイドロポンプはターゲットをそれました。
「いまよアグル、地震よ!!」
「ゴロオオオォォ――!!」
突き上げるような揺れがフィールドを襲い、石盤は砕け、堀の水が激しく波打ちました。ドククラゲは力を失い、ぐったりと動かなくなりました。
ミクリさんは悔しげな笑みを浮かべ、手持ちの最後の1体を送り出しました。ルンパッパLv.56です。

ワタシはアグルを戻し、モンスターボールからキラリンを出しました。頭のバンダナをほどき、キラリンの首に巻いてあげました。
「お願いね、キラリン!」
「チャモッ!」
それを見ていたミクリさんは、けげんそうな顔でワタシを見ました。
「このコは、ホウエンに来てはじめて出会ったワタシの大切なパートナー、アチャモのキラリンです。ポケモントレーナーたち、ジムリーダーたち、アクア団やマグマ団とのバトル…今までずっといっしょに旅をして、いっしょに困難を乗り越えてきました……」
「タイプ相性?そんなの関係ありません!勝ち負けとは別なんです!……たとえ、それが甘さだと言われても」
「ワタシと、キラリンの、かけがえのない、絆を…!」
「チャモチャ…」
熱いものがこみ上げ、言葉につまってしまったワタシは、ディスプレイの電源を切りました。そして、ひざをついてキラリンの頭に手を置きました。
「……うん!」
「チャンモ!」
視線を交わすと、キラリンは台を軽快にはね降り、しっかりとした足取りでバトルフィールドに向かって歩いていきます。キラリンとルンパッパ、2匹は対峙しました。
「……キラリン、電光石火ぁ!!!」
「チャッ!!!」
キラリンは目にもとまらぬスピードでフィールドを駆け抜け、ルンパッパに渾身の体当たりをくらわせました。しかし、それも相手の体勢を崩しただけに過ぎず、逆に波乗りをくらいました。キラリンは気を失い、そのまま堀のほうへと押し流されていきます。
「キラリン!?」
ワタシはためらうことなく、台から飛び降りました。流れに足を取られて転び、ずぶぬれになりながら、キラリンをしっかりと抱きとめました。まずキラリンを上に上げ、台をよじ登りました。ぬれた羽毛をタオルで拭き、足もとにそっと寝かせます。涙がほろりとこぼれました。
「キラリン………………ゆっくり休んでね……」

「ブラースト!」 「アウァ!」
ワタシの刺すようなまなざしに、陽気にステップを踏んでいたルンパッパが一瞬たじろぎました。ブラーストが剣の舞を舞うと、ルンパッパは影分身を始めました。回避率を上げ、長期戦に持ち込む構えです。しかし、それもこの技の前では無意味です。
「つばめ返し!」
その一撃でルンパッパに致命的なダメージを与えました。ミクリさんは回復の薬を使い、何とか戦闘不能をまぬがれました。
「つばめ返し!」 「つばめ返し!」 「つばめ返し!」
ワタシは怒りをぶつけるかのように、指示を出し続けました。ブラーストの絶え間ない攻撃に、ついに回復の薬が尽きました。彼は自らの敗北を覚悟したのか、髪をいじっていた手を下ろし、目を閉じました。
「……つばめ返し!!」
黒い刃がひらめき、ルンパッパはゆっくりとフィールドに倒れました。

「…勝った……勝ったぁ―――――!!!」
モンスターボールがいっせいに開きました。みんな、じっとしていられないみたいです。
「ピッカァ!」 「ピカ!」
「アゥ!」 「ゥア!」 「テンペスト!ブラースト!」
「ジュッ!」 「ランス!」
「ゴロォ〜!」 「アグル!」
「…チャンモ」 「キラリン…!」
ワタシはみんなを、ぎゅっと抱き寄せました。



台が下がり、ミクリさんが手を叩きながらこちらに歩いてきました。
「チャンピオンである私を打ち負かすとは……なんとワンダフル!憎らしいほどエレガント!だけど、とってもグロリアス!」
「ミクリさん…」
「さすがだよ、ハカセちゃん!君は本当に素晴らしいポケモントレーナーだ!」
「…ありがとうございます!」
しっかりと握手をかわし、賞金として23200円を受け取りました。
「君が繰り出してきたポケモンの数々…時に春風のように舞い、あるいは稲妻のように刺す。そんなポケモンたちをかろやかに操る君の姿、この私でさえも惚れ惚れするほどだったよ!」
「いやぁ、それほどでも…ありますよぉ!……なんてね。アハハハ」
「このポケモンリーグで見事頂点に立った君こそ、ホウエン地方の新しい…」

「ハカセ!」
「…!ユ、ユウキくん?!」
突然扉が開き、彼はバタバタと駆け込んできました。ワタシはあわてて顔をごしごしとこすり、涙をごまかしました。
「チャンピオンに挑戦する前に、オレがアドバイスしてやろうか…」
「……へ?」
「ハカセ……おまえ、ひょっとしてチャンピオンに勝ったのか?」
「うん、そうだけど?」

オダマキ博士が息を切らし、部屋に入ってきました。
「ほれみろ、ユウキ!ハカセちゃんなら心配いらんと、私が言ったとおりだろう!」
「オダマキ博士!お久しぶりです」
「…ハカセちゃん、とうとうやり遂げたな。君がトウカジムのお父さんに勝ち抜いたと聞いたときに、もしや…とは思ったが、まさか本当にチャンピオンになってしまうとはな!……おお、そうだ!君のポケモン図鑑はどうなった?私に見せてごらん!」
「は、はい!」
「ふむふむ……見つけたポケモン160、捕まえたポケモン106か…とうとう100種類超えたのか!ポケモン図鑑として見事なもんだね!」
「ありがとうございます!」
「とにかく、おめでとう!さあ、胸を張って奥の部屋に行ってくるがいいよ!」
「ハカセちゃん…いや、改めて呼び直そう。新しいチャンピオン!さあ、私についてきたまえ」
「はい!ミクリさん」

ポケモンたちをボールに戻し、ミクリさんとともに最奥部の部屋に向かいます。ミクリさんは、何気ないそぶりで後をついてくるユウキくんに気づき、彼を制止しました。
「申し訳ないが…ここから先の部屋は、チャンピオンになったトレーナーだけが入ることのできる場所。君は、そこでオダマキ博士と一緒に待っていてくれたまえ」
「…えーっ!………………ま、仕方ないか。そういう決まりだもんな。ハカセ!よかったな、おめでとう!!」

「うん、ありがとう!……ユウキくん!やっぱり、あなたにはその笑顔のほうが似合ってるよ!」
彼は赤面した顔を指差し、うなずきました。

「ここは…激しい戦いを勝ち抜いたポケモンを記録する場所、リーグチャンピオンの栄光を讃えるための部屋さ!」
広々とした室内は照明が落とされ、大型のディスプレイだけが点灯しています。ミクリさんとワタシは奥に進み、中央の操作パネルの前に立ちました。
「さあ!ポケモンリーグを勝ち抜いた君の名前と、共に戦った君のパートナーを、このマシンに記録するのだ!」
「はい!」
6つのモンスターボールをパネルにはめ込みます。スキャンが始まり、ポケモンたちの勇姿がディスプレイに次々と映し出されていきました。

No.156 ピカ/ピカチュウ♂Lv.46
No.003 ランス/ジュカイン♂Lv.46
No.009 アグル/ラグラージ♂Lv.46
No.004 キラリン/アチャモ♂Lv.46
No.152 テンペスト/アブソル♀Lv.47
No.152 ブラースト/アブソル♂Lv.46

名前 ハカセ

そっと目を閉じて思い出します。ミシロタウンに越してきたあの日のことを……
たくさんの人たち、たくさんのポケモンたちとの出会い……

ありがとう、みんな!
ありがとう、ワタシの大切な仲間たち…



おこづかい771477円  プレイ時間119:44  ポケモン図鑑106匹  バッジ8個
ゲットしたポケモン/なし

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