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P‐LOG エメラルド編

#61
アオギリはおもむろに振り返り、笑みを浮かべました。その向こうには老夫婦の姿と祭壇のようなものが見えます。
「マグマ団のマツブサに先を越されてしまったが、我々も用事は済ませたぜ!送り火山に祭られていた紅色の珠…確かにアオギリがいただいた!」
アオギリの手には、モンスターボール大の赤い半透明の球体が握られていました。
「紅色の珠…?」
「ふふふ…これで我々の目的も果たせるというものだ……さあ!ここは引き上げるぞ!」
「アオギリ!待ちなさい!!」
立ち込めていた霧が急に濃くなり、それが元に戻ると、アオギリたちアクア団の姿は忽然と消えていました。とりあえず、ワタシはミリア(マッスグマ♀)とジョシュ(チルタリス♂)をボールに戻しました。

「ああ、なんということだ…!藍色の珠だけではなく、紅色の珠までもが奪われてしまうとは……藍色の珠と紅色の珠が離れ離れになってしまうなど、けっしてあってはならないこと…あの男たちは二つの珠でいったい何をする気なのか……」
「あいつら、今までにも人からポケモンや物を奪ったり、火山を噴火させようとしたりした悪いヤツらなんです。また何か悪いことをたくらんでるに違いないわ!」
「…そういえば、最初に現れて藍色の珠を奪っていったマグマ団とやらがこんなものを落としていった…これが何なのか、私にはわからん。おまえさん、よかったらこいつをもらっておくれ…もしかしたら何かの役に立つのではないだろうか…?」
マグマのしるしを受け取りました。マグマ団のシンボルが刻まれた金属製のメダルです。
「送り火山はポケモンの魂をなぐさめるためのところ…ここは高い場所にあってホウエンを見渡すことができるから、ポケモンたちの魂も安らぎを覚えるのじゃろう……おまえさんがここに来たのも何かの縁…ホウエン地方に伝わる話を聞いていきなされ…」
「あ、はい」

「遠い遠い大昔のこと…世界では陸と海のポケモンが激しい戦いを繰り広げていた。陸のポケモンは大地を盛り上げ地面を広げ、海のポケモンは荒波を起こして海を広げた。2匹の戦いは終わることなく、この世界は燃えさかる炎と吹き荒れる嵐で埋め尽くされた」
「それを鎮めたのが藍色の珠と紅色の珠…二つの珠から広がる光が2匹の怒りを鎮めた。そしておとなしくなった2匹は海底深く潜っていき、やがてその姿を消したのじゃ……」

「…まさか、そんなポケモンが本当に……2つの珠はワタシが取り戻します。ここで待っててください!」
行くとすれば、やっぱりあそこしかないか…

「なんだなんだ!おまえはマグマ団のしたっぱか!?」
「違いますっ!」
ミナモのアクア団アジトです。そこにはあいかわらず警備の団員が2人いるだけでした。
「マグマ団め、アジトですごいポケモンを目覚めさせるつもりらしいな!えーい!アジトはいったいどこにあるっていうんだ!」
「エントツ山にはマグマ団が狙うすごいポケモンがいるらしいな!えーい!そいつはいったいどんなポケモンなんだ!」

とりあえず、ピカ(ピカチュウ♂)の波乗りで砂浜まで戻ってきました。
エントツ山かぁ…よし!
「出ておいで、ジョシュ!」
「チルゥ!」
「アハハ、あなたって声、チルットのままなのよね…進化おめでとう、ジョシュ!もう、ワタシを乗せて飛べるよね。だって、こんなに素晴らしい翼があるんだもの」
ワタシはジョシュの背中に乗りました。
「さあ、飛んで!」
「チィ〜ルゥ〜……」
「大丈夫!あなたならできるわ!」
彼のはばたきは力強さを増し、足元の砂を巻き上げながら、ゆっくりと浮かび上がりました。
「さあ行くわよ、ジョシュ!!」 「チルッ!!」

おこづかい290524円  プレイ時間084:57  ポケモン図鑑070匹  バッジ6個
ゲットしたポケモン/なし



#62
ジョシュはワタシを乗せて自由に飛べることがとてもうれしいみたいです。彼はややのんびりとはしながらも順調に飛び続け、ついに眼下にキンセツシティが見えてきました。
「ジョシュ、ここで降りてくれる?」
「チルゥ〜!」
ド――――――ン!!!!
見事に地面に激突しました……着地の練習もしたほうがいいかも…

念のため山道を登れるようにと、サイクルショップ・カゼノで今まで乗っていたマッハ自転車をダート自転車に交換してもらいました。一路112番道路のロープウェイ乗り場に向かい、エントツ山山頂を目指します。
ロープウェイを降りたワタシは戦闘態勢を取り、火山灰の降るなか火口へと歩を進めました。

あれ……?
そこにはマグマ団の影も形もありませんでした。観光客らしき人たちがいるだけです。目撃情報がないか、話を聞いてみることにしましょう。
「温泉に入ったら調子バッチリなのよね!絶対勝てるわ!」
「なんだか燃え上がってきて戦いたくてたまらないのっ!」
「ここはいい山だ!あっついおねいさんたちがいっぱいだあ!」
山頂付近にいたのはトレーナーばかりで、結局マグマ団については何の情報も得られませんでした。まったく拍子抜けです。

山頂なら団員の1人もいると思ったんだけどなぁ……
フエンタウンに向かってデコボコ山道を下っていると、突然地響きがしてきました。大きな岩が振動し、ドスンという重々しい音が響いたかと思うと、また静かになりました。持っていたマグマのしるしに反応したようです。段差を飛び降りてその岩の向こう側に回り込んでみると、そこには人が通れるほどの洞窟が口を開けていました。ワタシはエントツ山でのマグマ団との戦いの後、1人の団員がこのあたりに取り残されていたことを思い出しました。これこそマグマ団のアジトに間違いありません。
気を引きしめ、洞窟に足を踏み入れます。内部はいたるところから高温の水蒸気が噴き出していて、かなりの蒸し暑さです。時折飛び出してくる野性のイシツブテやコータスを避けつつ奥に進むと、丸い岩が道をふさいでいました。秘伝技の怪力を使えば岩を動かせそうです。
怪力かぁ…そういえば秘伝マシンをもらったのはいいけど、誰にも覚えさせてなかったのよね…

ということで、急きょ山道を下りきってフエンタウンのポケモンセンターにやってきました。今まで育ててきたポケモンたちには秘伝技を覚えさせる余裕がなかったので、ゲットして以来パソコンに預けたままになっているポケモンをチェックします。ワタシはその中から104番道路でゲットしたマリル♂Lv.5を選び出しました。かわりにミリアを預けます。彼にはさっそく怪力と洞窟からの脱出用に穴を掘るを覚えさせ、レベル上げのため学習装置を持たせました。

ダート自転車でジャンプしながら段差をひとつずつ登っていくのは、けっこう大変です。ワタシはあらためて気を引きしめ直し、洞窟に入りました。
「頼むわ、マリル!『怪力』よ!」
「リルーッ!!」
マリルはその小さな体に似合わぬ力を発揮して、3つある丸岩をゆっくりと動かし、進路を確保しました。転がり落ちてきたゴローンLv.30を自爆する前になんとか眠らせ、無事ゲットに成功しました。

複雑に折れ曲がる通路を奥へと進むと、目の前にふらりとマグマ団員が現れました。
「リーダーに言われたとおりエントツ山をどんどん掘っていたら、とんでもねえモンが出ちまった!」
「とんでもないもの?」
「何が出たかって?ふははは!俺を倒せたら教えてやるよ!」
彼が自信満々に出してきたポチエナLv.29は、キラリン(アチャモ♂)の大文字一撃で倒しました。マリルはLv.6になりました。
「やっぱり教えるのやーめた!どうせ奥まで行けばわかることさ!」
「ナニよそれ!ウソつきぃー!!ウソつきは泥棒の始まりよ!…あ、そういえばマグマ団って隕石とか珠とかを盗んだりしてるし、泥棒の始まりっていうか、もともと泥棒だったんだっけ」
「おまえも後にお楽しみを残しておいたほうがいいだろ?」
「そうよねー、ワタシもショートケーキのイチゴは最後に食べるほうだしー…って、キラリン」(微笑)
「チャモッ!」
「マグマ団のしたっぱに大文字!!」
「チャンモォ――ッ!!★」

消し炭一丁あがりっと!(違)

おこづかい304794円  プレイ時間085:29  ポケモン図鑑071匹  バッジ6個
ゲットしたポケモン/ゴローン



#63
通路を道なりに歩いていると、急に広い空間に出ました。
「むむむ!ここに入ってこれるのはマグマ団のメンバーだけのはず!なのに、あなたはマグマ団の服を着ていない…えーい、怪しい奴め!私と勝負しなさい!」
「むむ!怪しい奴め!」
「やや!怪しい奴め!」
いきなり増えてるしー!!

テンペスト(アブソル♀)とブラースト(アブソル♂)で次々と団員を蹴散らし、先へと進みます。洞窟のそこかしこには溶岩だまりがあり、奥に進むにつれ暑さはひどくなる一方です。気になるのは、団員が口走った「超古代ポケモン」の存在です。
リーダーのことを強く信奉している者もいれば、自分たちの行いに疑問を持つ者、暑がりでアクア団に入れば良かったなどと言う者まで、団員の志の程度は様々です。

「俺もグラードンを見たいのに、まだしっぽすら見せてもらえなくてイライラしてるんだ…」
「グラードン…!?それが超古代ポケモンの名前なの?」
「あっ!グラードンのこと、言っちゃった!」
ヤジロンLv.29はテンペストのシャドーボールで一撃でした。

「ウヒョ!ここまで来たんだから教えてやろう」
ワタシは男をにらみつけ、腰のモンスターボールに手を伸ばしました。
「そうさ、この先にはグラードンが眠っているのさ!マツブサ様はたった今、グラードンのところへ行った!もうすぐ眠りから目を覚ますぞ!ウヒョ!ウヒョヒョ!」
「そうはさせないわ!」
ドンメルLv.26をブラーストのシャドーボールで倒し、次のグラエナLv.28をキラリンの大文字、バクーダLv.33とズバットLv.30をピカの波乗りと10万ボルトで倒しました。キラリンとピカがLv.36に、マリルがLv.19になりました。
「…と、こんな具合におまえと遊んでやっている間に、マツブサ様がグラードンを……ウヒョ」

掘削機や様々な機械の並ぶ通路を進むと、他よりもひときわ大きな溶岩だまりが見えてきました。赤々と煮えたぎる溶岩の中央には巨大な暗灰色の影が見えます。立ち昇る陽炎のせいでその姿をはっきりととらえることはできません。マグマ団リーダーのマツブサは満足げにそれを眺めていました。

「マグマに眠るグラードンよ。何をしても目覚めなかったおまえが求めていたのは藍色の珠…そうなんだろう?さあ、ここに持ってきてやったぞ」
彼はケースから藍色の珠を取り出し、頭上に高くかかげました。そのとき、言いようのない不安感がワタシを襲いました。
「この輝きで目を覚ませ!そして、本当の力を私に見せておくれ!」
「やめてぇー!!」
藍色の珠が光を放ち始めました。一帯はまばゆいばかりの青い光に飲み込まれ、それが途絶えると洞窟全体が強い震動に襲われました。動き出したグラードンはワタシが今までに感じたことのない絶対的な威圧感をもって、溶岩の海の中をゆっくりとこちらに迫ってきました。
溶岩の熱を吸収して赤熱した体、鈍く光る鋭い爪……疑問は確信へと変わりました。
伝説の陸のポケモン!!このままじゃ…やられる!

轟音とともに地鳴りが止み、静寂が戻りました。恐る恐る目を開けると、グラードンは忽然とその姿を消していました。気圧されたワタシには身じろぎひとつできませんでした。
「……グラードン!いったい、どうしたというんだ!?藍色の珠では駄目だというのか?グラードンよ!どこへ消えてしまったんだ…」
「マツブサ…自分が何をしてしまったのか、わかってるの?あなたは恐ろしい怪物を野に解き放ってしまったのよ…世界を破滅の淵にまで追い込んだ超古代ポケモンを!!」
「おまえか!あっちでもこっちでも、ちょこちょことうろつきまわっていたようだが。なるほど、おまえが何か小細工をしていたんだな…!」
「何を言ってもムダのようね…!」
マツブサはグラエナLv.37を、ワタシはテンペストを繰り出しました。つばめ返しと突進の応酬ののち、テンペストが威嚇で下がった攻撃力を取り戻すため剣の舞を舞うと、怖い顔で素早さを下げられ、さらに先制の威張るで混乱させられてしまいました。それでもかろうじて自滅することなく、つばめ返しでグラエナを仕留めることができました。
混乱しているテンペストを戻し、ブラーストを繰り出します。ブラーストがクロバットLv.38に先制のシャドーボールで大ダメージを与えると、相手はいい傷薬を使い、体力を回復させてきました。その隙に剣の舞で攻撃を高め、シャドーボールでクロバットを撃ち落としました。
これ以上時間をかけるわけにはいきません。ワタシはピカを出し、バクーダLv.39を波乗りの一撃で沈めました。アブソル姉弟はLv.36に、マリルはLv.21でバブル光線を覚え、マリルリに進化しました。

「グラードンが逃げ出したのには何か訳がある…そう言いたいのだろう?」
「…こんなことをして、きっと大変なことが起こるわ」
「ふん…それぐらい私もわかっていたさ。グラードンがいなくなってしまえば、もうこんな山に用はない。私はグラードンを追いかけるから、おまえともここでお別れだな!」
マツブサは煙幕にまぎれ、姿を消しました。

おこづかい326994円  プレイ時間087:12  ポケモン図鑑072匹  バッジ6個
ゲットしたポケモン/マリルリ(マリルより進化)



#64
ワタシはフエンタウンのポケモンセンターでみんなを回復させました。もぬけの殻となったマグマ団アジトでは、目覚めたグラードンの行方を示す手がかりとなるものは何も見つかりませんでした。もう、ホウエン全体をくまなく調べるしか方法はないのでしょうか。

せっかく秘伝技の怪力を覚えさせたので、ふもとの炎の抜け道に寄ってみることにしました。マリルリの怪力で岩を押し、以前来たときには入れなかった洞窟の奥に進みます。次々と現れる野性ポケモンをかいくぐり、技マシン06「毒々」と炎の石を拾いました。
「そうだ…あなた、まだ名前がなかったんだよね。名前、ちゃんとつけてあげるからね!」
「ルリ〜!」

ワタシはジョシュに乗り、カイナシティにやってきました。着地もいくらか上手になったようです。さっそく姓名判断士の家へ向かいます。
「では、どんなニックネームにしようかな」
「ここに来るまでに考えてきました。名前はマーチンにします!」
「よし、これからこのポケモンはマーチンだ!前よりいい名前じゃないか。よかったな!」

外に出ると、ポケモンセンターのはす向かいに人だかりができていることに気づきました。
『カイナシティ 船乗り場』
「あの、何かあったんですか?」
「クスノキ館長は海の底で何かを発見したんだって!なんだろなー!なんだろなー!」
「あのインタビュアーのお姉さん、かっこよくて美人!あたしも大きくなったら、国際ジャーナリストになるわ!」
「みんなー!見てるかー!俺もテレビに映ってるかー?」
大勢のヤジ馬の足元をくぐり抜けて前に出ると、ちょうどクスノキ館長は突撃レポートでおなじみのマリさんからインタビューを受けているところでした。
「…という訳で、今後も調査は続けていきますよ!」
「そうですか。いやあ、クスノキさん!今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました!また何か発見がありましたら、ぜひ取材させてくださいね!」
マリさんたちは取材を終え、帰っていきました。

「ふう…テレビカメラに写されるなんて初めてだったから緊張したよ!」
「こんにちは!お久しぶりです、クスノキさん!」
「お!ハカセちゃん、元気そうだね!今回の海底調査ですごい発見をしたんだよ!128番水道で大昔に絶滅したといわれるポケモンの住みかと思われる海底洞窟を見つけた…」

『フフフ…クスノキ館長とやら。君の潜水艇は我々アクア団がいただく!君達は我々に黙って協力すればいいのだよ!』
突然、どこからともなく声が響き、あたりは騒然となりました。まわりを見回しても、その声の主は見当たりません。
この声は…アオギリか!
『フフフ…これからアクア団が何をするか、楽しみにしていたまえ!』
「今の声は…?誰かが拡声器を使って…どこから話しているんだ…?」
「船乗り場の」 「中!」
「潜水艇が…奪われる…?ハカセちゃん!いっしょに来てくれ!」
「はい!!」

乗り場に係留されている潜水艇の前には、アクア団リーダーのアオギリが立っていました。
「あいつらは…以前、博物館でデボンの荷物を奪おうとしていた…」
「アオギリ!」
「おや?また君か…わざわざここまで追いかけてくるとは、ご苦労なことだな…だが、もう誰にも我々を止められない。止められると思うなら、ミナモのアジトまで来るかね?フフフ…」
アオギリはそう言い残すと海に飛び込み、潜水艇とともに姿を消しました。

「なぜ…アクア団の連中が私の潜水艇、『かいえん1号』を奪うのだろう?まさか、彼らも海底に眠るポケモンを…だが、私が追いかけてもあんな連中に勝てるわけない……」
「クスノキさん…おそらく、彼らが狙っているのは伝説に登場するもう一匹の超古代ポケモン、陸のポケモン・グラードンと対を成す海のポケモンのはずです。ホウエン…カントー、ジョウト…いえ、この世界の危機を、一人のポケモントレーナーとしてワタシは見過ごすことはできません。よみがえったグラードンを目の当たりにして、そう感じました…」
ジョシュをボールから出します。
「アクア団のアジトへは、ワタシが行きます!」

おこづかい327119円  プレイ時間088:06  ポケモン図鑑072匹  バッジ6個
ゲットしたポケモン/なし

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