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P‐LOG エメラルド編

#99.5
「すみません、ハカセさんですよね?」

買い物をしながら、カイナ市場をぶらぶらと歩いていたときのことです。
ワタシを呼び止める声に振り返ると、そこには10歳くらいの小柄な女の子が立っていました。髪を二つにしばってキャップをかぶり、赤いタンクトップ、黄色のハーフパンツといった活動的な格好をしています。
「はじめまして!あたし、ワカバジャーナル記者のサトコっていいます。今日は、ポケモンリーグ新チャンピオンのハカセさんにインタビューにうかがいました」
「ワタシに?」
「はい!でんどう入りされたハカセさんがどんなすごいトレーナーなのか、ぜひお話をお聞きしたくて!」
「スゴイトレーナー……コホン!そこまでいうなら、この実力と美貌を兼ね備えたとってもスゴーイ美少女トレーナー、ワタクシハカセがインタビューに答えてさしあげましょう!!」
「……あ、ありがとうございます!では、こちらへ」

市場内のカフェに場所を移します。
「…ワタシはウブの実のレアチーズケーキとダージリンティーを」
「じゃあ、あたしも同じもので」

彼女はメモを取り出し、レコーダーのスイッチを入れました。
「えーと…質問は50個あります。なるべくテンポよく答えていってくださいね」
「はい、どうぞ!」

1.まず、お名前をどうぞ。フルネーム・由来など、なんでも語ってください。
ハカセ:通称「ハカセ」、本名は「ムラザキ・ムラサキ」です。
「ハカセ」っていうのは、自分からそう呼んでほしいって言ったんです。ワタシ、小さいころからポケモンのことがだいすきで、みんなからそう呼んでもらえたら、いつか本当のポケモン博士になれるって信じていましたから……いまはムラサキもハカセも、同じくらい大切な名前です。


2.年齢・性別を教えてください。よければ、誕生日もお願いします。
ハカセ:15歳、女の子です。誕生日は9月23日です。

3.髪や目の色、体格、お気に入りの服装など、外見を教えてください。写真などありましたら、見せてください。
ハカセ:髪の色は黒、外はねのセミロング。瞳の色は深い赤です。体格は普通かな。
普段着ているトレーナー服は白いミニ丈のワンピース、頭には赤紫色のボールマークが入った白いバンダナを巻いています。色が白だと自然界では目立つと思うかもしれないけど、赤外線や紫外線の反射率が草木に近い素材でできているから、ポケモンからは意外と見つかりにくいんですよ。
…写真?カメラ持ってないの?じゃあ、今度送るから。


4.出身はどちらですか?
ハカセ:カントー地方マサラタウン出身、ホウエン地方ミシロタウン在住です。ホウエンへは、先に単身赴任していたパパといっしょに暮らすために越してきました。

5.ご家族を紹介してください。
ハカセ:パパのセンリとママのアヤメ、そしてワタシの三人家族です。
パパはトウカシティジムのジムリーダーをしています。挑戦者の皆さん、うちのパパはとーっても強いから、覚悟しておいてくださいね!
ママはトレーナー経験はないらしいけど、ポケモンのことは結構詳しいみたい。手料理は最高においしいです。


6.自分の性格についてどうぞ。
ハカセ:自分で自分のことはわからないとはいうけど、そうですねぇ…
モモカ:気がきかない、おこりっぽい、ワガママ、ケチ……
ハカセ:モ、モモカぁ!?あんた、どっから出てくんのよっ!!
トモカ:…明るくて人に優しい性格、と。こんにちは、ハカセ!わたしたち、海水浴に来てたんですよ。

7.趣味・特技などはありますか?
ハカセ:なんといっても、ポケモンの研究ですね。バトルも好きです。他にはアチャモグッズの収集とか。
モモカ:あたし、チイラのヨーグルトパフェ!お金はこの人からもらってね。
ハカセ:ナニ、ひとの財布を当てにしてんのよ!あんたのほうがお金持ってるでしょ。

8.実は何か、特別な力・才能などがあったりしますか?
ハカセ:ポケモンが発する「気」…「波導」ともいうらしいけど、なんとなくそれが感じ取れること、かな。役に立っているかどうかは別として。

9.何か弱点はありますか?
ハカセ:ポケモンバトルに情が入り込んでしまうところが、弱点といえば弱点かも。
モモカ:パーフェ!パーフェ!

10.あなたをポケモンに例えるとなんですか?その理由は?
ハカセ:ジグザグマ…かな。調査のために、いつもせわしなく動き回っているところとか。
モモカ:パーフェ!パーフェ!

11.あなたの著作や、あなたについて書かれたものはありますか?
ハカセ:今のところ、ありません。でも、ひと区切りついたら、研究の成果と旅の記録を本にまとめたいと思っています。
モモカ:パーフェ!パーフェ!……きたぁ―――っ!!

12.お好きなスタイルで、あなたの人となり・能力等を表現してください。学校の成績、RPGの能力値、精神コマンドなど、なんでも可です。
モモカ:うわぁ……濃厚な甘みの中にもピリッとした辛味がきいてるチイラの実と、さっぱりとした酸味のヨーグルトとがかもし出す絶妙なハーモニー!たとえていうならダイヤモンドとパール、まさにポケモンのDS革命やぁ〜!!
ハカセ:う・る・さ・い!……あ、そういうのよくわからないんで、その質問はパス!

13.そのほかの自己紹介項目があればどうぞ。血液型・星座・資格・クセ・イメージカラー・テーマ曲等、なんでもOKです。
ハカセ:それじゃあ、イメージカラーで。ワタシのイメージカラーは紫です。名前が「ムラサキ」だからっていうのもあって、好きな色なんです。紫色って、気品とか優雅さを感じさせる色ですよね。
モモカ:ハカセって「○○だしー」って語尾を伸ばすのが口ぐせなの。ホント、しーしーうるさいのよねー。ちなみに、あたしのイメージカラーはキュートなピンクよ。
トモカ:わたしはオレンジね。
ハカセ:もう…トモカまで言ってるしー。
トモカ&モモカ:それ!
ハカセ:ハッ!!

14.生い立ちや、トレーナーになったきっかけについて教えてください。
ハカセ:パパがポケモントレーナーだったから、ワタシのまわりにはいつも、当たり前のようにポケモンがいました。自分のポケモンが持てるようになった10歳の春、オーキド博士からヒトカゲをもらって、カントーを巡る旅に出たんです。

15.あなたは自分をどんなトレーナーだと思いますか?
ハカセ:自分で言うのもなんだけど、「知性派トレーナー」かな。

16.ポケモンを育てるときに重要視していることはなんですか?
ハカセ:そのコにあった能力を伸ばしてあげることですね。

17.あなたの戦い方を教えてください。
ハカセ:緻密な計算と的確な読みを軸に、押すときは押し、引くときは引く……なんてね!

18.現在のパーティメンバーを紹介してください。パーティを組むときのポリシー、こだわり等ありますか?
ハカセ:今のベストメンバーは、キラリン(アチャモ♂)、ピカ(ピカチュウ♂)、テンペスト(アブソル♀)、ブラースト(アブソル♂)、ランス(ジュカイン♂)、アグル(ラグラージ♂)の6匹です。
ポリシーというほどのものじゃないですけど、「好きなポケモンでバランスよく」って感じかな。


19.初めて出会った、またはゲットしたポケモンはなんですか?その子について語ってください。
ハカセ:ワタシがはじめて見たポケモンは、パパのラッキーだったと思います。小さいころはいい遊び相手でした。
はじめて自分のポケモンになったのは、マサラタウンを旅立つときにオーキド博士から譲り受けた、ヒトカゲ♂の「ザード」です。リザード・リザードンと進化して、まだトレーナーになり立てだったワタシをよく助けてくれました。


20.いちばんのお気に入りは誰ですか?その子について語ってください。
ハカセ:ホウエン地方に来て、初めて手にしたポケモン、色ちがいアチャモ♂の「キラリン」です。ほら、出ておいで!
キラリン:チャモッ!
ハカセ:光を帯びた金色に輝く羽毛が自慢です。強力な炎技で、ずっと一線で活躍してくれています。

21.今までで、いちばん印象に残っているバトルのことを教えてください。
ハカセ:思い出に残るバトルはたくさんありましたけど、ひとつだけあげるとしたら、殿堂入りをかけたチャンピオン・ミクリさんとのポケモンリーグ最後の戦いですね。
ワタシとポケモンたちのすべてをかけて挑みました。相手が苦手な水ポケモンでも、恐れずに向かっていくキラリンの姿が、まぶたの奥に焼きついています……


22.トレーナーでよかった!と思ったことはありますか?どんなときですか?
ハカセ:こうして大切な仲間たちと出会えたこと、それにつきます!

23.トレーナーにとって、いちばん大切なのは何だと思いますか?
ハカセ:自分のポケモンを信じること。トレーナーとポケモンの信頼関係があってこそ、前に進めるんです。

24.「秘密基地」について一言どうぞ。
ハカセ:まだ場所選びの段階ですけど、カラーコーディネートにはこだわるつもりです。専用回線が引けないから、パソコンでポケモンや道具のやり取りができないのが不満ですね。

25.伝説ポケモンについて、どう思いますか?
ハカセ:あまりにも強い力を有するがために、人々から疎まれ、また欲望のまなざしを向けられる存在……そう考えると、かわいそうかもしれませんね。

「ちょっと、モモカ!なんであんたが割り込んでくんのよ!!これは『ワタシ』の殿堂入り記念のインタビューなんだからね!」
「いーじゃん、ちょっとぐらい!このケチケチケチケチィ!」
「……トモカ、お願い!」
「モモカ」
「(ズルズル…)もう、お姉ちゃん、ひっぱらないでよ!わかったわかった、行きますって!」
「また会いましょうね、ハカセ!」
「うん、またね!」
笑顔で2人を見送ります。サトコちゃんはあっけに取られた様子でした。

26.得意なことはなんですか?
ハカセ:推理・考察によって結論を導き出すこと。

27.では、苦手なのは?
ハカセ:それとは逆に、直感で選ぶこと。くじ運ないんです。バトルは別ですけどね。

28.好きなことはなんですか?
ハカセ:フェアなバトル、本気のバトルをすること。

29.きらいなことは?
ハカセ:自然を破壊し、ポケモンを悪事に利用しようとすること。絶対に許せません。

30.友だちはいますか?誰ですか?
ハカセ:オダマキ博士の息子さんのユウキくんと、初めてのポケモンゲットでお手伝いしたミツルくん、それにフエンタウンジムリーダーのアスナかな。オーキド博士のお孫さんのシゲルもそうかも。もちろん、トモカとモモカもね。

31.ライバルはいますか?その人について、どう思いますか?
ハカセ:今は、いません。前はシゲルやユウキくんがそうだったのかもしれないけど、そうじゃなくなっちゃったから……さびしいですよね。

32.彼氏はいますか?ナイショで教えてください。
ハカセ:残念ながら……

33.「あこがれの存在」はいますか?
ハカセ:ダイゴさんです!美形でクールでバトルも強くて、謎めいたところが魅力ですね。
キラリン:チャッ、チャモチャ!
ハカセ:アハハ!…きっとこのコったら、「ダイゴさんにワタシを取られるかもしれない」なんて思ってるんですよ。

34.今までで、いちばんうれしかったことはなんですか?
ハカセ:やっぱり、ポケモンリーグ殿堂入りですね。

35.いちばん悲しかったことは?
ハカセ:ワタシが10歳になって間もないころ、パパがママとワタシを残して、ひとりでホウエンに行ってしまったこと…です。
でも、今はパパとはとっても仲がいいから、ご心配なく。


36.いま、いちばん打ち込んでいることはなんですか?
ハカセ:ポケモン図鑑のデータ収集・整理と、バトルフロンティア挑戦です。

37.「これだけは譲れない!」というこだわりは何かありますか?
ハカセ:ポケモンの育成は計画的に。

38.いま、いちばん欲しいものはなんですか?
ハカセ:自分の研究所です。普段使っているトレーナー用のボックスは本格的に使うには容量が少ないし、パソコンもポケモンセンターの共用のものですから。一応、別に大容量のものを借りてはいるんですが、それも共用のパソコン経由なので。

39.あなたの自慢はなんですか?
ハカセ:テンペストとブラーストのアブソル姉弟です!攻撃力は種族最強クラス、特にテンペストはスピードも最速なんですよ。

40.あなたのいちばん大切なものはなんですか?
ハカセ:今まで旅する中で出会った人たち、ポケモンたちです。

41.将来の夢・目標はなんですか?
ハカセ:ちゃんと博士号を取って、協会公認のポケモン博士になりたい。そして、この世界の謎を解き明かしたいです。

42.あなたの秘密、こっそり教えてください。
ハカセ:秘密?「秘密」は秘密だから、「秘密」なんですよ。

43.あなたがジムを作るとしたら、どんなジムにしますか?
ハカセ:エスパータイプのジムです。エスパーポケモンだけでバランスよく組んでみたいですね。パパには悪いけど、ノーマルタイプよりもアクが強い分、やりがいがありそうだし。
ひとつ気になるのは、本人が超能力者じゃなくてもジムリーダーになれるのかどうか、っていうことなんですけど。


44.バトルでどんな相手とでも対決できるとしたら、誰がいいですか?また、誰とでもタッグを組めるとしたら、誰がいいですか?
ハカセ:若いころのオーキド博士とバトルしてみたいです。昔はすごいトレーナーだったっていう話だし。
タッグを組むなら、ユウキくん、ミツルくんあたりがいいかな。


45.もし、生まれ変われるなら、何になりたい?
ハカセ:ワタシはワタシがいいです。

46.もし、ひとつだけなんでも願いがかなうとしたら、どうしますか?
ハカセ:そうですね……勇気!ワタシに、ダイゴさんに告白する勇気をくださ…
キラリン:チャアァ……
キラリン:モオオォォォォ――――!!!!(大文字)
ハカセ:いぎゃああぁあぁぁ――――!!!!

47.もし、ポケモンと話ができたら、何を話しますか?
ハカセ:…き、キラリンと納得いくまで話し合いたいです……

48.もし、ポケモンになれるとしたら、どんなポケモンになって、何をしてみたいですか?
ハカセ:ありがちかもしれないけど、飛行タイプのポケモンになって、自由に大空を舞ってみたいです。

49.もし、ポケモンがいなくなったら、どうしますか?
ハカセ:……そんなこと、ワタシに聞かないでくださいよ。

50.最後にお聞きします。あなたにとって、ポケモンとはなんですか?
ハカセ:たとえていうなら、決して涸れることのない泉みたいなものです。興味は尽きません。

「以上で質問はおわりです。おつかれさまでした〜!」
「ふぅ〜、さすがに50もあるとタイヘンね…」

「…そうだ!質問はポケモン用のもあるんですよ」
「サトコちゃん。おもしろそうなんだけど、それ、どうやって本人に答えてもらうの?人間の言葉を話せるポケモンなんて、そうそういるもんじゃないしー。ねえ、キラリン」
「チャンモ!」
「あ、そっかー。いい考えだと思ったんだけどなぁ……」

突然、ドスンという音が響き、もうもうと煙が流れてきました。すぐ近くのようです。
「お待たせニャー!」
「あ、いた……」
「あやしいやつ!」
煙の中からあわてた様子で飛び出してきたのは、白いニット帽をかぶり、黒と赤のトレーナー服を着たニャースです。サトコちゃんはモンスターボールに手をのばしました。
「ハカセ〜、ちょっとだけかくまってほしいのニャ〜!」
「ハカセさん、おともだち…ですか?!」
「……ううん、『知らないヒト』」
「そ、そんニャ〜!!」

駆けてくる足音が聞こえました。煙のせいではっきりとは見えませんが、小型のポケモンと小柄な少年のようです。
「ピカピ!」
「今だ、ピカチュウ!10万ボルト!!」
「ピッカ!ピーカーヂュウウゥ―――!!」
あたりはまばゆいばかりの閃光に包まれ、エネルギーの蓄積が頂点に達すると、爆発が起こりました。
「やニャかんじぃ〜!!」 「〜ブッブブ〜!」 「〜ナンスッ!」
ニャースは空の彼方へと消えました。ポケモンと少年も、すぐにその場を立ち去ったようです。
「いったいなんだったの…?」
「さあね」

サトコちゃんとワタシはお互いの旅の無事を祈って握手を交わし、それぞれの道へと戻りました。
ポケモントレーナーとしての道…それはずっと、どこまでも続いているのです。

質問提供&取材協力:グリフィンアイランド

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